ガンダム? パトレイバー? 二足歩行の有人ロボット、開発中の韓国で操縦してみた(動画)

もちろん、このロボットを造った目標は世界征服のためではない。

韓国のベンチャー企業「韓国未来技術」のイム・ヒョングク代表は、変わったプロポーズをした。身長4mのロボットに乗って婚約者に鋼鉄の腕で花束を渡した。

このロボットが、両腕を人の手で操縦できる2足歩行ロボット「メソッド-2」だ。

この巨大ロボット「メソッド」の映像が2016年12月に公開された後、多くの疑問の声が上がった。アメリカの科学専門メディア「ライブサイエンス」は、「この巨大なロボットにだまされてはいけない」という記事を配信。ロボット科学者に問い合わせた結果「韓国未来技術」という企業が業界で知られておらず、ホームページもないと疑問を呈した。ウソなのか? ハフィントンポスト韓国版は、目でこのロボットを見ようと、京畿道西部の軍浦(グンポ)にある研究所を訪れた。

「私たちの研究員には、いわゆるロボット科学者がほとんどいません。30人以上の研究者は大部分、誰かは金型技術者、ほかの誰かはモーターの技術者と、頭より体が先に反応する現場の人たちです」

メソッドの故郷「韓国未来技術研究所」で会ったイム代表は、研究スタッフが誰なのかという質問にこう答えた。

実際に4mの巨大ロボットを目の前にすると、公開された映像が「コンピューターグラフィックではないか」と疑われた理由がよく分かった。このロボットは美しい。巨大な金属の骨格を、圧縮した炭素繊維が筋肉のように包んでいる。

もちろん、このロボットを造った目標は世界征服のためではない。

「人が操縦する巨大2足歩行ロボットは、ロボット科学に含まれるほぼすべての技術の集合体と考えました。これを造ることができれば、どんなロボットも造れるのです」

イム代表は「最初に交渉したのが、ハリウッド映画『トランスフォーマー4』のロボットデザインを手がけたビタリー・ブルガロフでした」と明らかにした。韓国未来技術が映画に登場するロボットのような、美しい見た目を求めた理由は明確だ。イム代表は明言しなかったが、このロボットは、同社の技術力が集約された一種のフラッグシップモデルであり、技術広報のための最高のツールだ。

ロボットが公開されると、取材や問い合わせが殺到した。韓国の聯合ニュース、ロイター、AP、Getty Imagesが行ったし、世界最大の画像エージェンシーであるゲッティも写真を撮影していった。

「当面の研究課題は『力』です」

4m。10個のはしごをつなげて操縦席に昇らなければならないロボットだが、操縦するのは難しくはない。スティック状のマニピュレータが、人間と機械のインターフェース(HMI、Human Machine Interface)の役割をする。このスティックに腕を固定させて動かすと、ロボットの関節にあるモーターが回転し、指示した方向に両腕を動かす。思ったより直感的で、想像したよりも洗練されている。

歩く場面は壮観だ。まだ歩行は操縦席ではなく、外部パネルから操縦しなければならないが、1.6tの鉄の塊が足踏みを始めると、建物全体が揺れる。一度倒れたら被害は並大抵ではなく、ロボットの肩には安全フックが着いているが、フックに力が加わることはなく、ガチャガチャと音を立てる。

「映像を見て、フックが支えているのではないかと言う人もいますね。安全のために取り付けただけです」

このロボットの当面の開発課題は「力」と、平らでない場所の歩行だ。

「2017年にはパワーを増強させるつもりです。歩行も改善しなければなりません。まだ平地の歩行しかできませんが、遠からず平坦でない場所の歩行もできるように開発中です」

イム代表の言葉だ。

この研究所で、現段階まで開発するのにかかった期間は約2年、費用は約200億ウォン(約19億5000万円)という。

「実は、トナー1個からすべての部品を私たちの研究所で作ったのが、最も重要な要素です。海外から部品を輸入した場合、2つの大きな欠点が生じます。テスト中に故障する恐れがありますので、当初から2〜3個を余分に買うことになります。節約して余分に買うのをやめたりすると、テストが消極的になりますから。『部品は、積み上げて使え』。そんな思いで小さな部品一つでも、すべてここで作成しました」

独自技術の開発は、それ自体成果でもあるが、迅速に目標を達成するための手段でもあるという。韓国未来技術は、メソッド-2の次のモデルで、2.5~3メートルのロボットと、車に変身する「トランスフォーマー」を開発中だ。

「国家支援を受けたのではないかという噂を聞いたが、これまでのすべての投資は、ヤン・ジンホ会長個人の出資金です」

韓国未来技術のヤン・ジンホ代表は聯合ニュースのインタビューで、ロボット開発事業に総額1000億ウォン(約97億5000万円)かかると予想されるとして、完成するまでは外部からの投資を受け入れずに、自分が費用を負担する計画だと述べた。しかしもちろん、無邪気に「少年時代の夢」を追うだけではない。ヤン会長は2018年末に公開予定の「メカ」を販売して、本格的に売り出す計画だと明らかにした。

まだ価格は決まっていないが、1000万ドル(約11億4800万円)くらいでどうだという部外者の意見を聞いたことがあると、ヤン会長は話している。

ハフィントンポスト韓国版に掲載された記事を翻訳しました。

▼画像集が開きます▼

SOUTHKOREA-ROBOT/

2足歩行の有人ロボット「メソッド-1」開発風景

※画像集が表示されない場合はこちらへ。

注目記事