「ノー残業手当」なぜ導入? スーツ販売大手が残業ゼロで1万5000円支給

「残業ゼロで手当がもらえる」制度を導入する会社に聞いた。
Group of japanese business people leaving an office building. They're talking and walking through a swing door
Group of japanese business people leaving an office building. They're talking and walking through a swing door
TommL via Getty Images

全国各地に約500店舗展開するスーツ販売店「スーツのはるやま」の運営会社・はるやまホールディングスが1月12日、月間の残業時間がゼロだった社員に対して1万5000円を支給する「No残業手当」制度を2017年4月から導入することを発表した。残業した場合でも、残業代が1万5000円未満の社員には、差額を上乗せして1万5000円を支給する。

定時退社を推奨する「ノー残業デー」を実施する会社が増えている中、「残業ゼロで手当がもらえる」制度の導入を決めた背景を探った。

■社内から健康で元気になる

同社は2015年12月にスタートした「スーツで日本を健康にする」宣言の1つとして、『社員の健康を応援し、まず社内から健康で元気になります』という約束を掲げていた。「No残業手当」はこの宣言の実現に向けた施策の一環として実施するもので、社員自らが残業をなくそうとする意識の向上と浸透が必須であると考え、残業をしない社員が得をするような制度を発案するに至ったという。

「No残業手当」の対象となる社員は、管理監督者を除く正社員1267名。同社に勤める社員のほか、グループ会社のはるやま商事株式会社の社員も対象となる。

はるやまHDが掲げる「スーツで日本を健康にする」宣言。3つ目の約束に『社員の健康を応援し、まず社内から健康で元気になります』とある。

■現時点の平均残業時間は10.5時間

同社の広報担当者は、ハフィントンポストの取材に対して「現時点での社員の月間平均残業時間は10.5時間程度」と話した。

残業が多い社員は接客に関わる販売員で、1日8時間以上営業している店舗もあり、特に繁忙期(12月〜1月頭、3〜4月、9〜10月)は残業時間が増えるという。広報担当者は、接客業務以外の事務的な業務効率化にも合わせて取り組んでいき、「No残業手当の浸透と『残業をしない』という社員の意識改善に繋げていくことを目指していく」と語った。

同社は現時点で社員に対して残業代を全額支給しているが、「No残業手当」制度導入後も引き続き残業手当は全額支給する。この制度の導入によって、社員に支給している残業代を年間8000万円程度圧縮できる見込みだ。また、社員に支給する「No残業手当」は年間1億8000万円を見込んでいるという。

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