1月20日、大統領就任式で言葉を交わすトランプ大統領とオバマ氏
アメリカのバラク・オバマ前大統領は1月30日、中東、アメリカ7カ国から旅行者や難民の入国を禁じたトランプ大統領に抗議する人々を支持する声明を発表した。オバマ氏は退任後、声明を出すのは初めて。
オバマ氏のスポークスマン、ケヴィン・ルイス氏が発表した声明は、トランプ氏を名指しして批判するものではなく、トランプ氏が27日に署名した大統領令を直に批判するものでもなかったが、抗議する人への連帯を表明することで、間接的にトランプ氏を批判するものとなった。
オバマ大統領はアメリカ各地で行われている抗議デモの盛り上がりに勇気付けられました。大統領としての最後の公式演説で、彼は市民が担う重要な役割と、すべてのアメリカ人が自分たちの民主主義の擁護者となるための責任が大切なのか、選挙中だけではなく毎日意識することについて語りました。
市民は結集し、団結し、自分たちが選んだ役人を通じて声を届ける憲法上の権利を行使できます。これはアメリカの価値観が危機に瀕しているとき、私たちがまさに期待するものなのです。
オバマ大統領時代の外交政策と比較してみると、私たちがこれまで理解していたように、オバマ大統領は基本的に信仰を理由に個人を差別する考えには同意しません。
オバマ氏は政権移行の間、トランプ氏への表立った批判を控え、大統領就任後も干渉しないと約束した。しかし、大統領就任から9日間で大統領令が数多く出され、抗議デモがアメリカの街や空港であふれかえった結果、オバマ氏も直接的に言及することになった。
オバマ氏が発言せざるを得ない状況になったのは、トランプ氏が大統領令を出した理由について「オバマ政権が過去にイラク難民の入国ビザを6カ月間停止したものを反映した」と主張していること反論するためとみられる。
オバマ政権は2011年、イラク国民だけに適用される入国審査手続きの見直しをした。アフガニスタン紛争やイラク戦争でアメリカを支持したアフガニスタン人、イラン人を救済するために議会が作成した特別移民ビザ(SIV)の難民とビザ申請者だけを審査した。
ワシントンポストなどのファクト・チェックをみると、この論争はおおむねオバマ側に付いているようだ。トランプ氏のように、ある宗教を優遇し難民受け入れを拒絶する行為に対して、オバマが声を上げて批判していたことに言及している。
2015年11月13日のパリのテロ攻撃を受けて、共和党の一部がアメリカへの入国を許可するのはシリア人のキリスト教徒のみにするべきと要求したことについて、オバマ氏は当時、そのような政策は「恥ずべきこと」と批判した。
「そんなことはアメリカ人がすることではありません。それは私たちの本来の姿ではありません。私たちが持つ思いやりに、宗教的なふるいをかけてはならないのです」と、当時オバマ氏は語っている。
抗議活動を支援するオバマ氏の声明について、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は30日、改めてトランプ氏の大統領令を擁護した。
「人々に不便をかけたことについては当然のことながら遺憾に思う」と、スパイサー報道官は語った。「しかし、その結論が出るまで、私たちは何時間も話し合っている」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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