「燃料デブリ」福島第一原発で発見か チェルノブイリには現存、どう取り出す?

福島第一原発2号機の格納容器の内部をカメラで確認する調査が1月30日に実施された結果、圧力容器の真下の作業用の床に、黒い堆積物が見つかった。

福島第一原発2号機の格納容器の内部をカメラで確認する調査が1月30日に行われ、圧力容器の真下の作業用の床に、黒い堆積物が見つかった。先端にカメラの付いたパイプを格納容器内部に挿入して撮影に成功した。

東京電力では、この物体が「燃料デブリ」の可能性があると見て、今後はロボットを使って詳しく調査する方針だ。

福島第1原発2号機の原子炉真下で確認された核燃料とみられる堆積物。鉄製の作業用足場にこびりついている(東京電力提供)

■燃料デブリとは?

共同通信によると、燃料デブリとは、原子炉の事故によって溶け落ちた核燃料が原子炉のコンクリートや金属と混ざり合い、冷えて固まったもの。放射線量がとても高く、人が近づけない上に非常に硬いため、取り出しは廃炉作業の最大の難関とされている。

2号機の格納容器内の放射線量は、2012年3月の調査時に毎時73シーベルトを観測した。人間は5分46秒間で死亡するレベルだった。

■サソリ型ロボットで調査へ

東芝が開発したサソリ型ロボット

今回の調査結果を受けて、東電は東芝製のサソリ型ロボットを使った本格的な調査を開始する。狭い場所を通れるよう細長い形をしており、調査したい場所に来ると尾の部分にあるカメラを前に起こして撮影する。蒸気が立ちこめていても3メートルほど先まで見通せるという。2号機の格納容器にある入り口からレールをつたって内部に入り、溶けた燃料の状態や放射線量を計測するという。

福島第一事故からまもなく6年となるが、燃料デブリの実態は分かっていなかった。今回発見された堆積物が燃料デブリと確認できれば、福島第一原発事故でメルトダウンした1〜3号機で初めてとなる。夏にも予定されている燃料取り出し方針の決定に向け貴重なデータとなる見込みだ。

政府と東電の工程表では、燃料デブリ取り出し方法を2018年度上半期までに確定し、2021年に燃料デブリ取り出しを開始する予定だ。ただ、今回のロボット調査も1年以上遅れており、政府内には工程表通りに作業を進めるのは難しいとの見方も出ている

■スリーマイルでは取り出し完了も、チェルノブイリでは…

チェルノブイリ原発4号炉の原子炉を覆うために造られた、放射性廃棄物を封印する巨大なシェルター(2016年4月撮影)

1979年にアメリカで起きたスリーマイル島事故では炉心溶融が起きたが、燃料デブリは原子炉の圧力容器の底にとどまっていたため、1990年までに全て取り出すことができた

一方、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、圧力容器や格納容器がなかったため、溶け落ちた燃料デブリは原子炉建屋の底で固まった。事故から30年経った現在も建屋内に残ったままで、その姿から「象の足」と呼ばれている。

■関連スライドショー(2016年の福島第一原発)

大型休憩所から見た構内

福島第一原子力発電所 2016年

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