トランプ大統領、イランに追加制裁で強硬姿勢アピール だが実はオバマ政権とほぼ同じ

「イランは危険な火遊びをしている」
JONATHAN ERNST/REUTERS

アメリカ財務省は2月3日、イランが1月29日に弾道ミサイルの発射実験を実施したことを受けて、報復措置として13の個人と中東や中国にある12の企業を対象に新たな経済制裁を課すと発表した。

制裁対象の個人や企業に対しアメリカ国内で保有する資産を凍結し、金融機関との取引を禁じる。

トランプ大統領は3日、経済制裁を発表する数時間前に、次のようなツイートをしていた。

イランは危険な火遊びをしている。オバマ大統領がイランにどれだけ優しかったか、彼らはわかっていないようだな。私は違う!

しかしこの制裁は、オバマ前大統領の政権が1年前に実施したものとほぼ同じものだ。

「本日の制裁は、イランのこれまでの行為に対して非常に、非常に強硬な対抗姿勢を示すものだ」と、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は3日の会見で語った。

前オバマ政権の高官も今回の制裁を支持しているが、前政権の制裁と比べて、なぜ現政権が強硬姿勢をとっているように見せているのか不思議に感じている。

「今回の動きは意味あるもの。まさに、このようにすべきというお手本だ」と、オバマ政権時代に国務省でイランとの交渉担当者を務めていたリチャード・ネフュー氏は述べた。「しかし、劇的にエスカレートするものでもない。オバマ政権下でしていたことと大差ない」

「問題は、この措置で終わりかということ。それとも、エスカレートの始まりとなるか」と、第1次オバマ政権時代に国防省でイラン問題を担当していたイラン・ゴールデンベルグ氏は疑問に感じている。

アメリカ財務省外国資産管理局は3日朝、アメリカ人との取引・金融を禁止する13の個人と12の企業のリストを公表した。財務省によると、これらの主体はイランの弾道ミサイルプログラムに関与したか、中東地域でテロを支援したという。

「今回の指定は、イランの弾道ミサイル開発やテロ関連の行為に対して強硬に臨む手段がまだあることを示している」と、トランプ政権の高官は匿名を条件にハフィントンポストUS版の記者に語った。

可能性としては、トランプは抜け目なくこなせるかもしれない。そうであれば、価値のあることだ。しかし、ただの狂人になる可能性もある。いずれにせよ、向かう先は衝突だ。オバマ政権時代に国防省でイラン問題を担当していたイラン・ゴールデンベルグ氏

別の高官は「これは始まりにすぎない」と述べ、トランプ政権の国家安全保障チームは、追加措置を取る状況について引き続き調査しているとした。しかし、この高官はそれがどのような結末をもたらすかは明言しなかった。

ちょうど1年前、当時のオバマ大統領は、イランの弾道ミサイル発射実験に際し11の個人と企業に今回と同様の制裁を課したが、多くの共和党議員から非難を浴びた。核プログラムの凍結合意を受けて広範な制裁を解除すると発表したときも同様だった。

しかし、トランプ政権の高官は3日、「今回の制裁は核合意とは無関係だ」と、言葉を選びつつ指摘した。

国家安全保障問題担当のマイケル・フリン大統領補佐官は1日、ホワイトハウスの記者会見でイランを厳しく批判した。「トランプ大統領は、イランとオバマ政権、そして国連間の合意を、脆弱で効果がないものとして厳しく非難している。合意したことをアメリカに感謝もせず、イランは今つけあがっている。本日、我々は正式にイランに警告する」

そのわずか2時間後に、複数の政府高官は、フリン氏の見解が核合意とは全く無関係だと繰り返し強調している。

3日午後、匿名の政権高官3人は写真撮影のない場で、現政権はイランによる核合意の違反を非難するものではなく、アメリカは引き続き合意内容にある義務の履行を尊重すると話した。

ネフュー氏は、政権から相反するメッセージが出されており、少々混乱しているようだと語った。彼によると、好意的に見れば、新政権はまだ選挙戦を終えたばかりの移行段階にあり、声明は政策遂行上実質的な効果がないという。

しかし厳しい見方をすれば、「左手は、右手がしていることを分かっていない」状態になっている。

ネフュー氏はさらに、国家安全保障のスタッフが引き続き慎重に事実関係を分析しているのは救いだが、フリン補佐官やトランプ大統領自身の発言が問題の引き金になる可能性があると語った。

「国際問題では、西部開拓時代のような強者の論理が通用しないことを認識すべきだ」と、ネフュー氏は指摘した極端な言葉を使うと将来の選択肢を狭めてしまうとした。「次に何が起こるか? 翌日、そしてまた翌日に起こることに対処しなければならなくなると、状況はますます複雑になっていく」

ゴールデンベルグ氏は、トランプ大統領の予測不可能な行動がプラスになるか、あるいは大きなダメージになるかが明らかになると語った。「可能性としては、トランプ氏は抜け目なく対応するかもしれない。そうであれば、価値のあることだ。しかし、ただの狂人になる可能性もある。いずれにせよ、向かう先は衝突だ」

ハフィントンポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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