岐阜県美術館がネット上で連載している4コマ漫画「ミュージアムの女」が、「すごく面白い」と読者から人気や共感を集めている。作者は美術館で監視係を務める女性職員で、仕事での奮闘ぶりや心情を描いている。
美術館によると、作者は2013年4月から同美術館に勤務し、監視係を務める西村友里さん(31)。美術館といえば、収蔵品の収集や保管、研究活動などをする学芸員にばかり注目が集まってしまう中、「部屋の隅で座っているだけ」と思われがちな監視係の奮闘ぶりや心情について、ユーモアを交えながら詳細に伝えている。
連載は2016年夏ごろに始まり、毎週金曜日に2話ずつ公開。現在30話まで出ており、美術館の公式FacebookやTwitter上で読むことができる。連載が始まると、「激しく共感」「美術館にも足を運んでみたい」などの反応があり、じわじわと人気が集まっている。作品を通じ、監視係の仕事や岐阜県美術館への関心が高まる効果が出ているという。
作品は、館内で虫を見つけたら全て学芸部に提出するといった裏話や、合コンで職業を伝えると「隅っこで座っている人ね」と言われることがよくあるという自虐的なエピソードなどが盛り込まれている。タメになったりくすりと笑えたりする話を織り交ぜ、読者の興味を誘っている。
こうした内容が好評を得ており、新しい連載が公開されると、毎回多くの「いいね」やコメントが寄せられている。「ミュージアム関係者はほぼ100%共感する」と評価する声が上がっているほか、「転載したい」「まとめて読みたいので本を出してほしい」などと、書籍化を望む人もいる。
ハフィントンポストは2月10日、岐阜県美術館の担当者に話を聞いた。
--連載が始まったきっかけは何ですか
美術館は、2015年にfacebookページを立ち上げ、監視係や学芸員といったさまざまな職員が情報発信をしています。漫画を書いている職員に、地域のフリーペーパーにある美術館の特集ページを担当してもらう機会がありました。その際に初めてイラストを披露したのですが、評判が良かったので、2016年10月からFacebookで連載として始めることにしました。
--漫画の読者から面白いと好評を得ています
とてもありがたいことです。イラストを通じて美術館を知ったり、興味を持ったりしてもらったら嬉しいです。
--漫画をきっかけに、実際に足を運ぶ方もいるのでしょうか
漫画がきっかけかは分かりませんが、美術館の利用する方に「漫画を見た」と声を掛けてもらうこともあります。
--監視係の奮闘ぶりや私生活などが、ユーモアを交えて描かれていますが、どのような意図があるのでしょうか
美術館を身近に感じてほしいというのが作者や私たちの思いです。どうしても敷居が高く、難しいと思われてしまいがちなので、親近感を持ってもらえるような内容にしています。
--本にまとめて欲しいという声も出ています
本にするのは簡単ではないですが、一つの夢として、実現できたらいいなとは思います。
■関連画像集「岐阜県美術館の4コマ漫画『ミュージアムの女』」
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