トランプ大統領、就任1カ月で成果強調 でも「昨夜、スウェーデンでテロ攻撃があった」と偽ニュース流す

「ドイツで何が起きたのか見ただろう。昨夜、スウェーデンで何が起きたのか見ただろう」

2月18日のフロリダ州メルボルンでの集会で、ドナルド・トランプ大統領はつい先日発生したスウェーデンでのテロ攻撃について言及した。そのような事件は起きていない。KEVIN LAMARQUE / REUTERS

アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月18日、フロリダ州メルボルンにあるオーランド・メルボルン国際空港の格納庫で行われた集会で、就任後の1カ月で環太平洋連携協定(TPP)の離脱や雇用の確保、不法移民の取り締まりなどの成果を強調し、「アメリカを再び偉大にするために驚くほどの進展があった」と語った。その一方で、「昨夜、スウェーデンがテロ攻撃を受けた」と、誤った情報を流した。

トランプ氏は、連邦高裁が差し止めたイスラム圏7カ国の入国禁止を命じる大統領令に代わる、新たな入国規制策を導入する計画を発表したあと、ドイツやスウェーデンなど、移民受け入れに積極的なヨーロッパの国名を引き合いに出し、移民、特に難民を受け入れる危険性を訴えた。

「ドイツで何が起きたのか見ただろう。昨夜、スウェーデンで何が起きたのか見ただろう」と、トランプ氏は支持者の群衆に向けて話った。「スウェーデンだ。誰が信じられる? スウェーデンだぞ」と彼は付け加えた。「スウェーデンは難民を大勢受け入れた。彼らは今、思いもよらなかった問題を抱えている」

トランプ氏のその後の発言で、過去2年間にテロ事件が起きたヨーロッパの場所について述べていたことがはっきりした。

「ブリュッセルで何が起きたか見ただろう。世界中で何が起きているかご存知だろう」と、トランプ氏は語った。「ニースのことを考えてみてほしい。パリのことを考えてみてほしい」

Twitterのウォッチャーたちは17日夜、スウェーデンでテロ事件は起きていないことを指摘した。

いや。スウェーデンでは何も起きていない。どんなテロリストの攻撃もそこでは起きていない。何も。今この瞬間に一番話題になっているのはメルフェスト【注1】だ。

【注1】メルフェストとは、ヨーロッパの国別対抗の音楽コンテスト「ユーロビジョン」に出場するスウェーデンの歌手を決めるテレビ番組。

トランプのホワイトハウスは今、イスラム教徒を締め出したことをアピールために、3つのテロ攻撃をでっちあげている。

1. ボーリンググリーン【注2】

2. アトランタ【注3】

3. スウェーデン

【注2】ボーリンググリーンとは、ケリーアン・コンウェイ上級顧問が3日、MSNBCの番組で「イラク人2人アメリカに入国し、過激派になってケンタッキー州のボーリンググリーン虐殺事件の首謀者になった。その後オバマ大統領はイラク難民プログラムを6か月間禁止した。この事実を、今まで知らなかった人は多い。これは報道されていない」と発言したもの。

しかしこれは2011年にボーリンググリーン在住のイラク人2人がテロの容疑で逮捕された話を「虐殺事件」と間違って伝えたものだった。コンウェイ氏は後にTwitterで「ボーリンググリーンのテロリストと言うつもりだった」と釈明している。

【注3】アトランタとは、ショーン・スパイサー報道官が「アトランタで海外から来た何者かがテロ攻撃を仕掛けた」と間違った情報を繰り返し発言したもの。ホワイトハウスは9日、この発言が「フロリダ州オーランドと間違えた」と訂正した。アトランタでは、1996年7月27日、オリンピック100周年記念公園の屋外コンサート会場の爆発で2人死亡、100人以上が負傷したテロ事件が起きているが、犯人は元アメリカ陸軍兵士だった。

これは大胆な予測なんてもんじゃない。ホワイトハウスのスタッフは、トランプが失言したと認める代わりに、スウェーデンで昨夜あった適当な犯罪を「テロ攻撃」として紹介するだろう。

トランプ氏は、アフリカや中東からの難民を大量に受け入れているスウェーデンで犯罪が増加していると報じたFOXニュースのテレビ番組「タッカー・カールソン・トゥナイト」を参考にしたのでは、と指摘している人もいる。

「昨夜スウェーデンで起きたこと」って、実際には「タッカー・カールソンが昨夜スウェーデンについて話しているのをテレビで見た」だけなのがわかった。

繰り返しておこう。スウェーデンで昨夜、テロ事件は起きていない。でもFOXニュースで昨夜スウェーデンについて話していた。

人口約950万人のスウェーデンは、ヨーロッパへの難民が急増した2015年夏以降、20万人近くの難民を受け入れてきた。難民に寛大な政策は議論を呼んだが、人口一人当たりの難民の受け入れ数で比較すると、スウェーデンは他のどのヨーロッパ諸国よりも多くの難民を受け入れてきている。

スウェーデンは、主にシリア、アフガニスタン、イラクなどの紛争国からやってくる難民の入国を許可している

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

▼画像集「トランプ政権の100日間」が開きます

イスラエルのガザ地区空爆

(スライドショーが見られない方はこちらへ)

注目記事