中韓関係、ミサイル防衛で緊迫 ロッテ狙い撃ちデモ・旅行中止...韓国大使館は注意呼びかけ

アメリカ軍の対北朝鮮ミサイル迎撃システムを韓国内に配備することに、中国が猛反発している。

中韓関係が緊迫している。アメリカ軍の対北朝鮮ミサイル迎撃システムを韓国内に配備することに、中国が猛反発しているためだ。

きっかけとなったのは2月27日、韓国ロッテグループが、慶尚北道星州郡にあるゴルフ場「ロッテ・スカイヒル星州CC」を、在韓米軍の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備用地として提供することを承認したことだった。韓国国防省は28日にロッテと、軍用地の交換契約を結んだ。聯合ニュースは環境影響評価(アセスメント)などを経て、早ければ5月から7月にかけて配備されるとしている。

中国は以前から、THAADの韓国内配備に強く反対しており、3月に入ってから韓国企業、韓国人への攻撃や、中国政府の報復措置が激しくなっている。

ハフィントンポスト韓国版は、中国のソーシャルメディア「微博」の投稿を紹介した。それによると3日に「共産主義青年団」が中韓合弁企業「北京現代」の車を襲撃したと宣言したり、江蘇省のロッテ百貨店前に「韓国ロッテが中国に宣戦布告した。中国から出て行け」という横断幕が掲げられ、反韓デモが繰り広げられたりした。ロッテ免税店の公式サイトやロッテグループの中国語サイトも、2日にDDoSと見られる攻撃でサーバーが一時ダウンした

2016年2月2日、中国人観光客でごった返す韓国・ソウルのロッテ百貨店

韓国の聯合ニュースによれば、中国の国家旅遊局は3月2日、北京一帯の旅行会社を招集して会議を開き、韓国旅行商品をネット販売も含めて全面的に販売を中断するよう口頭で指示した。2016年に韓国を訪れた外国人約1720万人のうち、中国人は約804万人に達し、ロッテ免税店も売り上げの7割以上を中国人観光客に頼る。全面中断が長引けばロッテだけでなく韓国経済が大打撃を被る可能性がある

ロッテの中国語表記が「楽天」のため、日本のネット通販大手の楽天も、ネット上で「中国から出て行け」などと抗議を受けた。朝日新聞デジタルによると、楽天は2月28日に微博で「韓国のロッテグループとは完全に違う会社で、中国語の漢字が同じということ以外、何の関係もありません」と発表した。

ハンギョレによれば、中国は今や、韓国の輸出の25.1%を占める最大の貿易相手国。韓国外交省は「事実を確認中」としているが「事実だった場合、特定事案と無関係な正常な人的交流まで人為的に制限する不合理な措置で、非常に遺憾」とコメントした。黄教安(ファン・ギョアン)首相(大統領権限代行)は3日「THAAD配備が本格化する中で、中国側の反発が強まると予想されるが、中国側の措置を注視し続け、中国との意思疎通を強化し、必要な対策を適当な時期に準備する」と述べた。

北京の韓国大使館は3日、公式サイトの掲示板で、現地駐在の韓国人に対し「我が国民の安全に関して留意する必要性がさらに高まっている」として「大衆密集地域や遊興施設などへの出入りを可能な限り自省し、中国人との接触時は特定の事案に関して不必要な論争など摩擦が発生しないよう、身辺の安全に格別に留意をお願いします」などと注意を呼びかけた。

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