医療保険制度改革法(オバマケア)撤廃のために提出した「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト」(AHCA)を、議会採決直前に取り下げたドナルド・トランプ大統領。
トランプ氏は、失敗した原因を断定した。責任は、賛成票を投じることを拒んだ民主党にあると。
「民主党からの支援がなかった。民主党から票が得られなかった」と、トランプ氏は説明した。「民主党の協力がなかった。あと少しだった。少しだけ、本当に少しだけ票が足りなかった」
「反対陣営、つまり民主党からの票が得られなければ、状況はとても難しくなる」と、トランプ氏は続けた。
「オバマケアは自滅すればいい」とトランプ氏は語り、今後は税制改革に着手する意向を表明した。
AHCAに対し、超党派の協力がなかったと語ったトランプ氏は正しい。野党からの協力が一切ない状況でスタートを切れば、何を実現させるにしても、困難を伴うのは間違いない。
しかし今回大失敗した原因が、民主党の協力がなかったと言うのなら、それはトランプ氏の自業自得というものだろう。
オバマケアを撤廃し、代替法案を議会に提出する過程で、トランプ氏は代替法案の修正協議や賛成の取り付けなど、民主党首脳たちとの交渉を一切行わなかった。下院民主党のトップ、ナンシー・ペロシ下院院内総務の事務所もその事実を認めているし、上院民主党のトップ、チャック・シューマー上院院内総務の事務所も同じく認めている。
民主党のディック・ダービン上院院内幹事の広報担当官ベン・マーター氏は、トランプ氏はAHCAを撤回したことについて「ワシントンポストやニューヨークタイムズには今日伝えたようだが、私たちには連絡がなかたt」と述べた。
超党派でAHCAを成立させるためのターゲットとなりそうな中間派の議員たちにも、議会採決の過程でトランプ氏からの協力要請は一切なかったという。民主党のジョー・マンチン上院議員の広報担当官も、連絡は一切なかったと述べた。
民主党が国内政策で果たした重要な功績を破壊しようとし、彼らとの対話も拒むという状況で、なぜトランプ氏が民主党の票を得られると予想したのかは不明だ。しかしトランプ氏は、自分が働きかけなくても彼ら自身の利益のために協力してくれるはずだと思っていたのは明らかだ。トランプ大統領は報道陣に対し、「オバマケアが崩壊すれば民主党は自分たちが責任を負わなければならなくなるから、代替法案を支持してくれると期待していた」と言っている。
「敗者はナンシー・ペロシとチャック・シューマーだ。なぜなら、オバマケアの責任は彼らにあるからだ」と彼は説明した。「これは我々の法案ではない。彼らの法案だ」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
▼画像集が開きます
(スライドショーが見られない方はこちらへ)