【森友学園】松本人志「100万円はそれほど問題ではない」 国有地値下げ問題をおさらい

「100万円、100万円で、我々が望んでるリングはそれじゃない」(松本人志)

学校法人「森友学園」を巡る問題について、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんが、3月26日にフジテレビ系で放送された「ワイドナショー」でコメントした。籠池泰典理事長が「100万円の寄付を受け取った」とする問題について「正直、それほどの問題ではなくて」と話した。

松本さんは籠池氏の国会での証人喚問について、司会の東野幸治さんに問われ「もちろん見ましたよ。色々言いたいことはありますけど、論点がズレてしまっているので」と答えた。

さらに「100万円は正直、それほどの問題ではなくて。100万円、100万円で、我々が望んでるリングはそれじゃない。場外乱闘で。(東野:8億円値引きのリングで戦ってほしい)そうなんですよ」と話し、問題の本質が寄付ではなく国有地の値引き問題にあるという認識を表明した。

また、出演者の乙武洋匡さんは、「(籠池氏の)キャラに引っ張られすぎ。僕らが面白がっちゃったところがある。松本さんがおっしゃる通り、国有地の払い下げの額は適当か、政治家の関与はあったのか、政治家へのお金の動きがあったのか。ワイドショー的な取り上げ方になって、問題が矮小化されている」とも話した。

■国有地「8億円値下げ」、それぞれの言い分は

松本さんが指摘した、国有地の値下げ問題について、国会での籠池氏や安倍首相らの証言を振り返り、問題についてそれぞれの立場の言い分を整理してみよう。

【国有地の払い下げで8億円値下げの理由】

森友学園が2016年6月に小学校の用地として購入したのは、大阪府豊中市野田町の約8770平方メートルの国有地。

価格は、鑑定価格の9億5600万円から「ゴミ撤去費」として見積もった約8億円などを差し引いた1億3400万円だった。朝日新聞デジタルによると、近隣国有地の10分の1の価格だった。

・籠池氏「値下げに驚き」

大量のゴミが出てきて、これはかなり問題があるなと思い、借りるより購入した方がいいと考えた。地中に生活ゴミがあり、軟弱地盤もあったので、1億3000万になったと。想定外の大幅な値下げにその当時はちょっとびっくりした。国が決めることなので、私はそれで受けた。(3月23日、衆参予算委証人喚問

・財務省の佐川理財局長「8億円は撤去費用」「記録は残っていない」

今後の工事でどんなゴミがさらに深いところで出てくるのかわからないので、隠れたものも含めて国の責任をいっさい免除するということを考慮して撤去費用(約8億円)を見積もった。(小学校の開校が迫っており)工事を早く進めなければいけないという話があった。(2月23日、衆院予算委員会第3分科会

売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う。規則に基づき、記録は保存期間1年未満とされている。(2月24日、衆院予算委員会

【値下げの過程で政治家の「口利き」「忖度」はあったのか】

8億円の値下げについて、籠池氏は証人喚問を通じて、安倍首相らの「口利きはなかった」とする一方で、安倍昭恵夫人という「政治家的な存在」に依頼したことなどによって財務省の官僚が「忖度」し、事態がスムーズに動いたのではないかとの見方を表明した。果たして、「忖度」はあったのだろうか。

・籠池氏「見えない力が働いた」

(安倍昭恵さんの秘書から届いたFAXを提示し)私が、安倍昭恵夫人に電話をして、海外出張中だったので、すぐに地元秘書の谷さんに連絡をかけられて、急いでいるんでということで谷さんから連絡があったということです。

(安倍昭恵さんを通じて)財務省に多少の動きをかけていただいたのかなと。生活ゴミが出たあとに急転直下で動いたので、そういうことも考えられるかなと。私は「神風が吹いたのかな」という風に思いました。何らかの見えない力が動いたのかなと思いました。詳細については辞任した代理人弁護士が知っている。(3月23日、衆参予算委証人喚問

・安倍晋三首相「忖度していない」

今回の(安倍昭恵)夫人付からのファクスでは、籠池氏側の要望に沿うことはできないと、きっぱりとお断りしたと承知している。むしろゼロ回答であり、忖度していないことは明らかだろうと思う。(3月24日、参院予算委員会)

・菅義偉・官房長官「FAXは秘書への問い合わせに対する回答」

(財務省側の説明として)FAXは籠池氏から昭恵夫人側に問い合わせた内容への回答ではなく、籠池氏側から昭恵夫人秘書に対して10月26日付の陳情書が送られ、その内容に対応したもの。法令や規約に基づく対応を説明したものであり、いずれにせよ国有財産に対する一般的な内容であり、籠池氏から直接問い合わせがあっても、同様の対応をする。(3月23日、記者会見

【「寄付金100万円」問題】

「寄付金100万円」について松本人志さんは「それほど問題ではない」とコメントした。しかし、政治家、あるいは籠池氏が「政治家的」とする昭恵夫人がいかに小学校設立に思いを寄せ、籠池氏と親密な関係だったかということを裏付ける可能性はある。この寄付金問題についても、両者の主張は真っ向対立している。

・籠池氏「渡された」

2015年9月5日、安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演した際に、控室の園長室で、同行していた秘書に席を外すように言って、籠池氏と2人きりの状態で「どうぞ安倍晋三からです」と、寄付金として封筒に入った100万円を渡された。(3月23日、衆参予算委証人喚問

・安倍昭恵氏「ありません」

私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。(3月24日、Facebookでコメント

・安倍晋三首相「事実と反する」

100万円の問題などについて、密室でのやりとりなど反証できないことばかりを並べ立て、事実と反することが述べられたことは誠に遺憾であります。(3月24日、参院予算委員会

■国有地取引の経緯

2013年4月:深さ3メートルまでの地下から廃材や生活ごみが見つかり、豊中市はこの土地を特定有害物質の汚染区域に指定した。

2013年9月:公募に応じた森友学園は、小学校用地として土地の取得を希望

2015年5月:財務局は森友学園と10年間の定期借地契約と期間内の売買予約契約を締結

2015年7〜12月:森友学園が全域の深さ3メートルの地下までから、コンクリート片など720トンや、鉛などの汚染土1090トンを除去。これにより、汚染区域の指定は解除された。

2016年3月:森友学園側は「地下にさらに大量のごみがある」と報告。財務局に「借地ではなく買いたい」と購入を申し入れ。

2016年4月:森友学園は除去にかかった費用として1億3176万円を大阪航空局から受領。

2016年6月:財務局は鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費として見積もった8億1900万円などを差し引いた1億3400万円で森友学園に土地を売却。

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