トランプ大統領の「オバマ氏に盗聴された」疑惑がさらに混迷 調査委員長がホワイトハウスから情報入手?

ニューヨークタイムズが、情報提供したホワイトハウス職員2人の氏名を公表した。
US President Donald Trump speaking at a "Friends of Ireland" lunch at the Capitol Building in Washington, USA.
US President Donald Trump speaking at a "Friends of Ireland" lunch at the Capitol Building in Washington, USA.
PA Wire/PA Images

アメリカのドナルド・トランプ大統領が「オバマ前政権に盗聴された」と主張している問題がさらに混沌としている。下院情報特別委員会のデビン・ヌネス委員長(共和党)は、トランプ氏の政権移行チームの通信が当局に傍受されていた可能性を公表したが、その情報提供は、ホワイトハウスの職員だと判明した。ニューヨークタイムズが3月30日に報じた。

トランプ大統領は4日の一連のツイートで、選挙期間中にオバマ政権がトランプタワーを盗聴していたと主張した。

「ひどすぎる!」と、トランプ氏は書き込んだ。「勝利の直前のトランプタワーでオバマが「電話を盗聴」していたことが今分かった。何も見つからなかった。これはマッカーシズムだ!」

トランプ氏のツイート全投稿は以下の通り。

ひどすぎる!勝利直前のトランプタワーでオバマが「電話を盗聴」していたことが今分かった。何も見つからなかった。これはマッカーシズムだ!

新情報。ジェフ・セッションズが会っていたロシア駐米大使はこれまでに22回、去年だけで4回もホワイトハウスにオバマを訪ねていた。

現職大統領が選挙期間中に候補者の電話を盗聴するのは合法なのか?以前裁判所は却下した。最低新記録だ!

良い弁護士がいればきっと見事に立証できるはずだ。選挙直前の10月、オバマ大統領が私の電話を盗聴していたという事実を!

非常に神聖な選挙の進行期間中に私の電話を盗聴するとは、オバマ大統領も落ちたものだ。これはニクソンのウォーターゲート事件だ。悪い(それか病んでいる)奴だ!

トランプ氏はTwitterに連続して投稿し盗聴疑惑を広めたが、その裏付けとなる証拠は示さなかった。

トランプ氏も、トランプ政権も、この疑惑の根拠としたのは保守系メディアの記事のみで、スパイサー報道官は16日、FBIが複数の機関による共同調査を率い、トランプ政権関係者とロシア政府の接触の可能性を調べていると、匿名の情報筋の証言を引用した一連の報道を読み上げた。

上院情報特別委員会は3月16日、バラク・オバマ前大統領がトランプタワーを盗聴していたとするドナルド・トランプ大統領の主張を立証する証拠はないと発表した

下院情報特別委員会もホワイトハウスの要求に基づいてトランプ氏のツイートについて調査し、司法省から盗聴問題に関する報告を受け取った。共和党のヌネス氏と民主党のアダム・シフ氏の両委員長とも、その情報は大統領の説を裏付けるものではないと語った。

ヌネス氏は「Twitterを文字通りに受け止めるなら、明らかに大統領の誤りだ」と発言した

ヌネス氏は19日にも、「トランプタワーでの盗聴の物的証拠? いや、何もなかった」と、改めて否定した。「17日に入手した情報についても同様だ」

シフ委員長も「司法省の回答について機密報告を受けた。我々のほとんどが地元を離れた後に届いたものだ。しかしやはり、トランプ大統領がオバマ前大統領に盗聴されていたという主張を支持する証拠は何もない」と述べた。

ところがヌネス氏は22日になって、匿名の情報筋からの報告として、政権移行チームのメンバーの通信内容が外国人を対象にした当局の監視活動中に「偶然傍受された」可能性があると指摘した。

しかしヌネス氏はこの情報を、下院特別情報委員会に通知せずにメディアに公表し、ホワイトハウスに報告したため、同氏は23日に委員会のメンバーに謝罪。民主党からはヌネス氏を調査から外すべきだとの要求が出ている。

ニューヨークタイムズは30日、情報提供したホワイトハウス職員2人の氏名を公表した。1人は国家安全保障会議の情報担当シニアディレクター、エズラ・コーエンワトニック氏。もう1人は下院情報委員会の元顧問で、国家安全保障を担当する大統領法律顧問局で働く弁護士マイケル・エリス氏だ。

この2人が、ヌネス氏に文書を渡す役割を果たしたと、ニューヨークタイムズは報じている。

ヌネス氏がこの情報をもとにトランプ氏に報告したことで、同氏が公平な立場で当局の監視を証明できるのかという疑う声が高まっている。

CNNは27日、ヌネス氏は監視に関する機密文書を調べるため、ホワイトハウス内で情報筋に面会していたと報じた。

ヌネス氏は28日、情報源について下院特別情報委員会の他の委員であっても「絶対に明かさない」と語っていた。ヌネス氏の広報担当者は、同氏が「情報の出所に関する憶測については肯定も否定もするつもりはありませんし、匿名の情報筋からの憶測に応じるつもりもありません」と述べた

ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は、30日の定例記者会見でコメントを拒否した。ポール・ライアン下院議長(共和党)の広報担当者は同日、ライアン氏はヌネス氏に「全幅の信頼」を寄せているが、ヌネス氏の情報源については知らないと述べた。

ニューヨークタイムズの報道が出た直後、ホワイトハウス法律顧問のドナルド・マクガーン氏は、ヌネス氏と、同じく下院特別情報委員会の委員長を務めるアダム・シフ氏(民主党)の両者に、ホワイトハウスで機密文書を閲覧するよう要請する書簡を送った。

この書簡は、ヌネス氏とシフ氏が15日に中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)、国家安全保障局に対し、監視業務に付随して情報を収集したあと、報告書にアメリカ人の名前を挙げたプロセスについて情報を求めたことに対する返答となる。

マクガーン氏は書簡で「通常業務の中で、国家安全保障会議の職員が文書を発見した。我々はこの文書が、情報機関に対する2017年3月15日付の書簡への答えを示すものだと信じている」と、書いた。

情報機関や法執行機関にあてた議会からの問い合わせに対し、ホワイトハウスが回答するのは異例のことだ。

シフ氏は記者団に対し、閲覧に来るようにと言われている文書と、ヌネス氏が先にトランプ陣営が偶然監視対象に入ったことを示すと主張していた機密文書とが、同じものであるかはわからないと語った。シフ氏は、この招待を受けたが、記者団には、文書がホワイトハウスにも共有されており、「遠回し状態」になっていることが気になったと話した。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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