大切なのは「モテ」じゃなくて「自立」だった。31歳、オタク限定婚活サイトで学んだこと

婚活市場でオーバー30は不利、そう思い込んでいたけれど…。
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「オタクを隠しながらの結婚は無理」と悟り、31歳でオタク限定の婚活サイトに登録。1人目に出会った男性と意気投合し、そのまま結婚に至ったアルパカ子さん。その一部始終はエッセイコミック『オタクだけの婚活サイトで運命の人を見つけました』に詳しいが、結婚生活2年が過ぎた彼女が当時を振り返って思うことは?

アルパカ子さん

■婚活市場でオーバー30は不利、そう思い込んでいた

――著書では「婚活において女性に求められるものは若さ」という現実が描かれていますが、にも関わらずアルパカ子さんは年下のヤギさん(仮)と結婚に至ります。

私が登録していた婚活サイトには、20代女性がすごくたくさんいたんですよ。男性側も「健康な子どもを産める20代女性を希望」とプロフィールに書く人も少数ですがいるにはいて。婚活の世界において、男性は女性の年齢を重視するもので、年下の男性が30超えの私を本気で誘うわけがないと思っていました。

ヤギさんとメールをやり取りするようになったのは、同じマイナーな海外ゲームを好きだったことがきっかけです。その話題で意気投合して、1カ月ほど経ったときに「そろそろ会いませんか?」と面接(婚活用語で直接会うこと)する流れに。

私は32歳、彼は30歳だったので、「年上だけどどうかなぁ」という気後れがあったんですが、当のヤギさんのほうは全然年齢を気にしていなかったそうです。

――初対面で「私たぶんこの人と結婚するわ」と直感したと描かれています。

それまでの私は「ビビビ婚とかありえないわー(笑)」というタイプだったんですよ。ただ、会うまでにメールを結構やり取りをしていたので、文面から気が合うことはなんとなくわかっていた。

その上で挨拶をしたときの声のトーンとか雰囲気とかで「この人、すごく同類(オタク)な気がする!」と直感したというか。でもヤギさんは初対面では別にそんな風に思っていなかったそうです(笑)。

そこから3回の面接(デート)を重ねて、結婚の話じゃなくて仕事や趣味トークですごく話が弾んで、「目のつけどころは違うけど、同じものを見てそれなりに楽しくやっていけそうだなー」と感じて、おつきあいすることになりました。

初めて手をつないだのは交際2カ月半後、入籍は1年後なので、婚活で出会ったにしては遅いペースかもしれません。入籍まで1年かけたのは「共通の知り合いもいないし、ちょっと慎重にいこう」というヤギさんからの提案です。私もその通りだなと思ったので、「1年間をお試し期間に」ということで合意しました。私にとっては、初対面の直感を1年かけて確認した、という感覚でしたね。

後から聞いた話だと、ヤギさんは「結婚するなら同じ30代の女性がいい」と考えていたそうです。ちゃんと仕事をして、結婚を現実的に考えている相手がよくて、自立していない女性との結婚はあまり考えられなかったと。私も同じだったので、その価値観が一致していたのも運が良かったと思います。

■料理は夫、掃除と片付けは妻、お金の管理は共同で

――結婚前に家事分担やお金の管理についても徹底的に話し合ったそうですね。

はい。お互いいくら貯金があるかとか全部オープンにして。年収は彼のほうが高いのですが、貯金は私のほうが彼より大分多く貯めていて。そこで心理的にバランスが取れた部分もあるかも。私はわりと堅実に貯めるタイプだったので。

ネットで出会ったことはお互いの両親にもオープンにしています。「自分たちで決めたならそれでいい」と特に反対されることもなかったですね。夫の両親も共働きで、結婚が決まったときに義母が「ルンバはいいよ。食洗機も絶対あったほうがいい!」と強く薦めてくれたので即導入しました。

家事の分担は夫が料理と買い出し、掃除や洗濯が私です。私の父は、結婚当初は「女の人が料理をして家で待っているのが本当は一番いいんだよ」とよく言っていましたね。

でもあるとき、父が上京してうちに泊まりに来て、夫が朝食を振る舞ったらそれをえらく気に入ってくれて(笑)。私たちなりにうまくやっていることが伝わったみたいで、今では理解してくれているようです。

家事の分担もそうですけど、夫は「女性だからこうすべき」みたいな考え方を一切しない人なんですよ。結婚して名字を変えるときも、「君の姓にしなくてもいいの?」と言ってくれて。それを言える人ってそんなにまだいないんじゃないかなぁ。というか私が逆の立場で男性だったら、言えただろうか、と考えてしまいます。

子どももできればほしいですね。夫は今から「育休を取りたい」って言っているくらいで。彼はゲーム会社に勤めているんですが、まだ育休を取得した男性はいないそうで、「じゃあ自分が1人目になればよいのでは」と今から取る気満々になっています(笑)。それを聞いたときは「この人を選んでよかったなあ」って思いましたね。

■オタク女子は『少女革命ウテナ』から女性の自立を学ぶ

――「婚活」を通じて気づけたことはありましたか。

自分から行動しないと結果はついてこない、ということですね。あのとき自分から動かなかったら、今も家と会社を往復するだけの日々だったと思います。

婚活を始める前は「女性はピンクのワンピース着てヒールの高い靴を履いて~」みたいなイメージがあったんですが、本当に重要なのはそういうことじゃなかった。少なくともオタク婚活ではまったく必要ありませんでした。

結婚後、「もし子どもができたらこんな風に深夜まで働き続けられない」と感じたので、退職覚悟で会社に掛け合ってみたんです。子どもを産んで働いている技術職の女性のロールモデルが社内に一人もいなかったので。

そうしたら会社側もさすがにやばいと感じていたのか、バックアップ体制をとることを受け入れてくれて。婚活と同じで、何でも自分から声を上げていかないと変わらないんだなぁ、と実感しましたね。

もうひとつは「自立は強い」ということ。これは私が10代の頃にすごく影響を受けたアニメ『少女革命ウテナ』から学んだことですね。男性に依存しない、女性の自立が作品の大きなテーマなんです。もちろん自分を変えることもある程度は必要だけれど、無理をして相手に媚びたり、大事な価値観を変えたりする必要はない。結婚相手とも会社ともちゃんと対等に向き合っていくためには、「自立していること」が最強の強みなんじゃないかな、と私は思います。

(取材・文 阿部花恵

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