「忙しすぎて心が迷子になってない?」いまこそ大切にしたい、絵本作家ターシャ・テューダーの言葉

「今が一番いいときよ」

(c)Richard W Brown

庭に咲く季節の花を眺めながら午後のティータイムを楽しむ彼女の名は、ターシャ・テューダー。アメリカを代表する絵本作家だ。彼女は2008年に92歳で亡くなったが、生誕100年を記念したドキュメンタリー映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』が公開され、「ぴあ映画生活」初日満足度ランキングでは実写作品第1位を記録。彼女のライフスタイルは、今なお多くの人々を魅了している。

“スローライフの母”と称される彼女は、どんな人生を歩んだのか。その温かい言葉とともにふり返る。

「心は一人ひとり違います。その意味では、人はいつも”ひとり”なのよ」

ボストンの名家に生まれたターシャ。その人生は決して順風満帆なわけではなかった。9歳のときに両親が離婚し、コネティカット州に暮らす両親の親友の家に預けられた。その家の型破りな気風に大きな影響を受けたという。

「静かな水のように穏やかであること。周りに流されず自分の速さで進むこと」

19世紀の農村の暮らしに憧れたターシャは、22歳で結婚。農場を購入し農場生活をしながら、4人の子供を育てた。また絵本作家として、夫が出て行った後も、絵本、さし絵、グリーティングカードなどの仕事で生活を支えた。

(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

「思う通りに歩めばいいのよ」

そして1971年。子育てを終えたターシャは、バーモント州の山奥に息子がひとりで建てた18世紀風の農家で移り住む。森に囲まれた、母屋や温室、納屋、ニワトリ小屋が誕生した。彼女が56歳のときだった。

(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

豊かな四季、鳥のさえずり、美しい庭。動物や鳥、植物に囲まれ、自分の美意識を大切に育んだターシャ。92歳で亡くなるまで、自然に寄り添いながら一人で暮らした。

(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

「人生は短いのよ、楽しまなくちゃ」

私は、90歳になった今も、バラの専門家になりたいと思っています。専門家になりたい、なりたい、と夢を追い続けるのが楽しいの。

――『ターシャの庭』(KADOKAWA/メディアファクトリー)より

(c)Richard W Brown

彼女の美しい庭は、朝日や雨露とともに輝いていた。

「今が一番いいときよ」

「忙しすぎて心が迷子になってない?」

忙しい日々を送っている人、ターシャの言葉が心に響いた人は、この静かなドキュメンタリーを観てみるといいかもしれない。

(c)2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会