FBIコミー前長官は「頭のおかしい奴」トランプ氏、ロシア外相に話す コミー氏は議会で証言へ

「FBI長官をクビにしたところだ。彼は頭がおかしい。本当に変人だ」
WASHINGTON, D.C., USA - MAY 10, 2017: Russia's Foreign Minister Sergei Lavrov, US President Donald Trump, and Russian Ambassador to the United States Sergei Kislyak (L-R) talking during a meeting in the Oval Office at the White House. Alexander Shcherbak/TASS (Photo by Alexander Shcherbak\TASS via Getty Images)
WASHINGTON, D.C., USA - MAY 10, 2017: Russia's Foreign Minister Sergei Lavrov, US President Donald Trump, and Russian Ambassador to the United States Sergei Kislyak (L-R) talking during a meeting in the Oval Office at the White House. Alexander Shcherbak/TASS (Photo by Alexander Shcherbak\TASS via Getty Images)
Alexander Shcherbak via Getty Images

アメリカのドナルド・トランプ大統領が5月10日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相らと会談した際に、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官を「頭がおかしい」と評し、彼を解任したことで「ロシアに関して受けていた大きな圧力」が取り除かれたと話したという。ニューヨーク・タイムズが5月19日報じた。

その数分後、大統領選期間中にトランプ陣営とロシアが接触した疑惑を捜査する捜査当局が、トランプ氏の側近のアドバイザーを捜査しているとワシントン・ポストが報じている。

トランプ氏は前日の9日夜にコミー氏を解任し、翌10日にロシア外相らと会談した。ニューヨーク・タイムズによると、会談でトランプ氏は「自分は捜査対象になっていない」と話し、コミー前長官を非難した。

ニューヨーク・タイムズが入手した会談のメモによると、トランプ氏は会談で「FBI長官をクビにしたところだ。彼は頭がおかしい。本当に変人だ」と語ったという。

トランプ氏とホワイトハウスはコミー長官解任の理由について矛盾した発表を繰り返している。今回のコミー長官解任劇は、FBIが大統領選へのロシアの影響、トランプ陣営との関連を調査してきた中で起きた。ニューヨーク・タイムズの報道は、トランプ氏が調査を終わらせるためにFBI長官を解任したという見方を裏付けるもので、さらに注目が高まることになった。

コミー氏は上院情報特別委員会で証言する意向を示した。29日の祝日「メモリアルデー」以降に委員会で証言する予定だ。

ホワイトハウスはニューヨーク・タイムズの報道に反論しなかったが、ショーン・スパイサー報道官は「本当の話」ではないと述べた。

「大統領はシリア、ウクライナ、IS(イスラム国)打倒、その他アメリカ国民の利益と安全に関する重要な課題に関して、ロシアとの交渉を重視してきた」と、スパイサー報道官は声明でそう述べた。

「ロシアの活動に関する調査に政治を持ち込み、スタンドプレーをしたジェームズ・コミー氏は、我々のロシアとの交渉能力に不必要な圧力を与えた」と、スパイサー報道官は続けた。「調査は継続しており、コミー長官の解任で捜査が終了することはない。またしても、我が国の安全保障が私的かつ機密性の高い会話の漏洩によって脅かされた」

コミー長官の解任でトランプ氏への捜査は終わらないばかりか、トランプ氏側近のアドバイザーにまで捜査の手が及んでいると、匿名の政府関係者の話としてワシントン・ポストが報じた。

これまで調査対象となったのは、トランプ氏の大統領補佐官(国家安全保障担当)だったマイケル・フリン氏と、大統領選でトランプ陣営の選対本部長だったポール・マナフォート氏だ。両氏ともに現在はトランプ政権から去っている。フリン氏は2月にロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使との接触に関して虚偽の証言を行ったことが発覚し、辞任した。トランプ大統領が5月10日にホワイトハウスで会談したロシアの政府関係者には、キスリャク駐米大使も含まれていた。マナフォート氏は、ウクライナで親ロシア派だったヤヌコビッチ前大統領との関与を指摘されており、ヤヌコビッチ氏の汚職疑惑にマナフォート氏の企業が関連していなかったか、捜査対象に含まれている。

アメリカ、ワシントンD.C――2017年5月10日、ホワイトハウスの大統領執務室で会談する(左から)ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相、アメリカのドナルド・トランプ大統領、セルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使。Alexander Shcherbak/TASS (Photo by Alexander Shcherbak\TASS via Getty Images)

さらにラブロフ外相らとの会談でトランプ氏は「重要な機密情報」を明らかにし、「IS(イスラム国)に関する重要な情報源を危険にさらした」と、ワシントン・ポストが報じた。

アメリカの上院情報特別委員会は、フリン氏に、ロシアとの接触に関する文書を提出するよう求める召喚状を出した。

当初ホワイトハウス関係者は、トランプ氏がコミー長官を解任したのはロッド・ローゼンスタイン司法副長官の助言によるものだと説明していた。その証拠として、2016年の民主党大統領候補だったヒラリー・クリントン氏への調査を含めたFBI長官の行動について、ローゼンスタイン氏が懸念している旨の文書を公開した。

しかしその直後、トランプ氏はローゼンスタイン氏の助言がある前に解任を決定していたと公の場で語り、ロシアに関する調査も決定の理由の1つだと述べた。

「私はコミー長官を解任する予定だったし、良いタイミングはないとわかっていた」と、トランプ大統領はNBCニュースのレスター・ホルト氏に語った。「解任を決断したときには心の中で『トランプとロシアが繋がっているというのは作り話で、選挙に負けた民主党の言い訳なんだ』と、自分に言い聞かせていた」

ローゼンスタイン氏の発言もホワイトハウス関係者の当初の主張と食い違っている。ローゼンスタイン氏は、自分が文書を提出する前から、トランプ氏がコミー氏を解任することは知っていたと議会で証言した

トランプ氏はロシア関連の調査について、「魔女狩り」だと繰り返し批判している。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

▼画像集が開きます

(スライドショーが見られない方はこちらへ)

注目記事