【加計学園問題】共産・小池晃氏「国家の私物化だ」新資料で追及 与党は参考人招致を拒否

野党側は「安倍首相の意向が働いたのではないか」と追及を強める構えをみせている。
時事通信社

安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が、「国家戦略特区」に獣医学部を新設する計画が認められた経緯が国会でも追及されるなど、波紋が広がっている。

朝日新聞デジタルは5月17日、特区を担当する内閣府が文部科学省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと伝えたとする文書記録を文科省側が残していたとしていた報じた。

この文書について、前文部科学事務次官の前川喜平氏は23日、朝日新聞の取材に対し、「自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と、存在を認める証言をした。前川氏は事務次官だった1月、文科省の違法な「天下り」問題に自ら関与していたとして減給処分を受け、引責辞任した。

学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関する文書

加計学園の獣医学部新設が認められた経緯について、野党側は「安倍首相の意向が働いたのではないか」と追及を強める構えをみせている。

24日に開かれた民進党の調査チームの会合では、2016年11月8日に文科省側が加計学園側に「現時点の構想では不十分だと伝えるべき」などと、文科省内のやりとりを記したとされるメール文書が示された。このやり取りがあったとされる日の翌日(2016年11月9日)、国家戦略特区諮問会議は、52年ぶりとなる獣医学部の新設を認める方針を決めた

■与党、前川・前事務次官の参考人招致を拒否

民進党は25日午前の参院文科委員会の理事会で、前川氏の参考人招致を要求。与党側はこれを拒否した。

同委員会で民進党の斎藤嘉隆氏は、前川氏が文書の存在を認めたことについて松野文科相に見解を求めた。松野文科相は「すでに辞職をされた方の発言なのでコメントする立場にはない」と説明を避けた。

与党が参考人招致を拒否したことについて、「(前川氏)本人から断りがあったわけではないと聞いている」「この件を明らかにするには、前川氏から真相を聞くべきでは」と松野文科相に質問。これについても松野文科相は「意見は差し控える」とした。

■共産・小池氏「加計ありきで進んでいる」

共産党の小池晃氏も「民進党と同じ文書を入手した」とした上で、加計学園の獣医学部新設をめぐる文科省の対応を追及した。

小池氏は、文科省が獣医学部の新設に直前まで反対していたにも関わらず、国家戦略特区諮問会議で新設が認められたことを疑問視。安倍首相側の意向が働いたのではないかとし、「必要な教員確保や資金確保など、万全な準備を行っていただきたいなどと(加計学園側に)伝達したとされる」「獣医学部の新設決定前の段階で、加計ありきで進んでいる。実際、加計学園側に伝えたのか」と松野文科相を追及した。

松野文科相は「国家戦略特区に関わるものであっても、大学の設立に関する一般的相談はあるが、内容については学校側の経営判断に関わるものであり、従来から公表しているものではない」と説明を避けた。

小池氏は「11月9日の国家戦略特区諮問会議の内容が焦点になる」「森友学園でも、加計学園でも、国家の私物化だ」と政府を批判。前川前事務次官の証人喚問を求める考えを示した。

■「加計学園の獣医学部新設計画」とは

加計学園」は1961年設立の学校法人で、学園理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相の友人。

加計学園をめぐっては「国家戦略特区」の事業として、同学園が運営する「岡山理科大学」の獣医学部を、愛媛県今治市に設置することが1月に公募で認められた。2018年4月に予定通り開学すれば、52年ぶりの新設される獣医学部となる。

今治市は学校用地として16.8ヘクタールの土地(約36億円相当)を無償で譲渡。愛媛県と今治市が、合わせて上限96億円の建設費を補助する予定。文部科学省は、岡山理科大の獣医学部の設置を認可するか審査している。

民進党や共産党など野党は、加計学園が国家戦略特区で獣医学部の新設を異例の速さで認められた経緯を疑問視。「特別な便宜が図られたのではないか」と国会で追求している。

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