『The Square』(オストルンド監督)とはどんな作品? カンヌ映画祭2017で最高賞を獲得

「これは最高の仲間と撮った最高の映画です。できれば彼らとまた一緒に仕事をしたい」
STEPHANE CARDINALE - CORBIS VIA GETTY IMAGES

5月28日に閉幕した第70回カンヌ国際映画祭(受賞結果はこちら)で、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の『The Square』が最高賞のパルム・ドールを受賞した。

土壇場になってコンペティション部門に追加された本作のパルム・ドール受賞は、誰もが予想しないものだった。

2014年に『フレンチアルプスで起きたこと』で同映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞していたオストルンド監督は、スウェーデンの国旗のもとでパルム・ドールを受賞した史上2人目の監督となった。1992年に『愛の風景』で同賞を獲得したビレ・アウグスト監督に続いたかたちだ。

受賞スピーチの際、オストルンド監督は感情表現豊かな身振りを交えて次のように話した。「これは最高の仲間と撮った最高の映画です。できれば彼らとまた一緒に仕事をしたい」また監督は、閉会式に集まった観客たちにむけて喜びの叫び声を上げた。

会場の盛り上がりぶりは以下の動画で確認できる。

■予想外の受賞

受賞作の『The Square』は、アートの世界を皮肉ると同時に、教養ある金持ちたちが移民や難民、ホームレスの人々を前にしたときに見せる、あらゆるレベルの「卑劣さ」を痛烈に揶揄したもの。

下馬評ではロバン・カンピヨ監督の『120 Battements Par Minute』(英題:120 Beats per Minute)やアンドレイ・ズビャギンツェフ監督の『Nelyubov』(英題:Loveless)が大賞候補と思われていたが、最終的にパルム・ドールを受賞したのは、暗いテーマが多数を占めるコンペティション部門作品のなかで一線を画していた『The Square』だった。

デンマークの俳優クレス・バング演じる主人公のクリスチャンは、バツイチの父親で、楽しみは2人の子どもと一緒に過ごすこと。尊敬を集める現代アート美術館のキュレーターでもある彼は、電気自動車に乗り、ヒューマニスト的な大義を信奉する典型的な富裕層に属する。

クリスチャンは「The Square」と題された自身の次の展覧会を準備中で、これはインスタレーションを取り囲んだ観客たちに、「利他主義」を掻き立て、「隣人に対する義務感」を呼び起こすことを狙ったものだ。

しかし彼は次第に、自身の価値観とともに生きてゆくことに困難を感じるようになる。クリスチャンが携帯電話を盗まれたときにとった行動で、それはとりわけ顕著となる。

時を同じくして、美術館の広告代理店が「The Square」の驚くべきキャンペーンを打ち出す。その結果はまったくもって予期しないもので、クリスチャンを実存的な危機に陥らせることになる……

▼『The Square』の抜粋動画

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

▼関連スライドショー(閉会式の模様)

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