トランプ大統領の電話に出なかった連邦検事、その直後に罷免される

「大統領から私にかかってくる電話はゼロであるべきと思っています。なぜなら、司法権を持っている人とは大統領と一定の距離をおくべきだからです」

3月にトランプ大統領によって連邦検事の座を罷免されたプリート・バララ氏が「ドナルド・トランプ大統領からの電話に出なかった直後に、大統領から罷免された」と、6月11日(現地時間)に出演したABCニュース番組「This Week」で明らかにした。


バララ氏によると、トランプ氏は大統領に就任する前の12月に1度、就任式の2日前に1度電話をかけてきて、「様子はどうだ」などと他愛ないおしゃべりをした。

大統領就任後の3月9日に3回目となる電話をかけてきた時、バララ氏は電話に出ず、かけ直しもしなかった。

バララ氏が電話に出なかったのは、法執行機関の職務に就いている自分に大統領が直接コンタクトをとるのは、不適切でルール違反だと考えたためだ。そして、電話があったことをジェフ・セッションズ司法長官に報告した。

その翌日の3月10日、セッションズ司法長官はバララ氏を含むオバマ氏が任命した46人の連邦検事に辞任を求めた。辞任を拒否したバララ氏は、翌日3月11日に罷免された(政権が変わった後、新しい政権が連邦検事を変えるのは珍しいことではないが、セッションズ長官の突然の辞任要求には批判が集まった)。

バララ氏の説明には、6月8日に上院・情報特別委員会に出席した連邦捜査局(FBI)元長官のジェームズ・コミー氏の証言と似たものがある。

コミー氏は公聴会で、トランプ氏から何度も電話がかかってきたと証言。トランプ氏が「忠誠を求めてきた」と語っている。バララ氏も「大統領は自分と何らかの関係を築きたいようだと感じた」と述べている。

またバララ氏は、大統領の電話に出るのが不適切だと考える理由を次のように語った。

「司法長官不在の状態で、事前に知らされることもなく、私を含めた様々な捜査に携わる連邦検事が大統領と1対1で会うというのは、非常におかしな事態です」

「大統領から電話がかかってくるというのは普通のことではありません。大統領が、コミー氏に何度もコンタクトを取ってきたというニュースを読んだ時、どこかデジャヴを感じました」

「7年半の間にオバマ大統領が私に電話をかけてきた回数はゼロです。大統領から私にかかってくる電話はゼロであるべきと思っています。なぜなら、司法権を持っている人とは大統領と一定の距離をおくべきだからです」

コミー氏も、オバマ氏と任期が重なったのは3年以上だが、その間に1対1で会話をしたのは2回だけだったと証言している。

バララ氏は、トランプ氏と電話で話さなかったこととその後解任に直接の原因であると主張しているわけではないと語っている。同氏が罷免されたのは、辞任要求を拒否した後だ。

「This Week」が放送された後、トランプ氏の顧問弁護士であるマーク・コラロ氏はTwitterで「大統領の電話に出るのを拒否したプリートは、解雇されて当然だ」とバララ氏を批判した。それに対し、バララ氏はこう返している。

「司法長官のオフィスは、電話については私に同意している。彼は、セッションズと上級補佐官がすぐにでも解任されるべきだといっているのか」

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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