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ダイバーシティの"活かし方"がわからない? こんな「スキル」を管理職が身につければ、在宅・時短勤務社員はもっと活躍できます

その「思い込み」がダイバーシティの妨げになっている?

「時短勤務の社員にはどのような業務を任せればよいのか」「人材や働き方が多様化する中で、どうすれば部下を公正に評価できるのか」ダイバーシティが浸透しつつある日本社会で、組織の要である管理職のそんな課題が浮き彫りになってきている。だが、ある「スキル」を身につければ、そんな悩みも解決できるかもしれない。管理職への調査とインタビューを通じて探った。

■企業の責任が管理職に重くのしかかる?サポートなき「現場でのダイバーシティ実践」

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"人材の多様化"によって、管理職に求められる役割が変わってきている一方、「自分自身がその役割を果たせている」と感じている管理職は1割強。

2017年2月にP&Gジャパンが実施した「ダイバーシティ時代の"管理職1000人の本音"調査」によると、「女性管理職の割合が増えた」「外国人の割合が増えた」など、71.8%の管理職が職場で"人材の多様化"を実感。それに伴って「管理職に求められる役割が変わってきている」と感じる人も58.2%と半数以上にのぼっている。また「自分の職場にダイバーシティ推進は必要だと思う」と感じている管理職も、52.3%と過半数を占めている。

ところが、「ダイバーシティ推進には管理職による実践・推進が必要」と感じている管理職は27.3%、さらに「自分自身がその役割を果たせている」と感じている管理職にいたってはわずか12.3%。7割の管理職が「人材の多様化」を感じているにも関わらず、ダイバーシティを実践できているのは全体の1割強に過ぎないという現状が明らかになった。

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"人材の多様化"などが進み、日々、複雑化・高度化している管理職のマネジメントに対して、企業側からのサポートがあると感じている管理職は全体の1/4以下。

さらに、人材の多様化に伴ってマネジメントが複雑化している現状に対して、「企業側からのサポートがある」と感じている管理職は24.4%で、全体の1/4以下だ。

むしろ現場からは「企業の責任が管理者個人へ課せられている。経営者が責任転嫁している」(40代/部長クラス)という声もあがった。つまり、企業側がダイバーシティ推進を現場の管理職に任せっきりにしてしまっている現状が見て取れる。

■「ダイバーシティの"活かし方"がわからない」を解決する方法

そのギャップを埋めるべく、2016年に発足したのが社外啓発組織「P&G ダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」だ。P&Gは、25年間にわたって日本の組織内で「ダイバーシティ&インクルージョン(人材の多様性の受容と活用:D&I)」を推進してきた歴史がある。

プロジェクトの一環として、これまでの知見やノウハウを提供する、社外の管理職向けの研修プログラムがスタートした。研修プログラムでは、「なぜ、あなたの組織にダイバーシティが必要なのか」「双方向コミュニケーション」「自分の中の無意識の偏見や思い込みに気づく」などを軸としながら、参加者たちが自身の体験を振り返り、実践的なスキルを身につける。

2017年1月、スポーツ用品大手アシックスの管理職30人がその「D&I研修プログラム」に参加した。結果、社内にポジティブな変化が起きたという。研修に参加したグローバル人事総務統括部・人事管理部人事支援チームマネージャーの奥村誠さん、人財開発部教育研修チーム/ダイバーシティ推進チームマネージャーの増田桂子さんに話を聞いた。

アシックス人財開発部教育研修チーム/ダイバーシティ推進チームマネージャーの増田桂子さん(左)、人事管理部人事支援チームマネージャーの奥村誠さん(右)。

■「重要な案件は時短の人には任せられない」という思い込み

――P&Gが提供するダイバーシティ&インクルージョン(D&I)研修に参加する前は、管理職としてどのような悩みを抱えていたのでしょう。

奥村(以下、敬称略):私には現在8名の部下がいるのですが、年齢は30~50代、雇用形態も派遣社員、契約社員、時短勤務社員、フルタイム勤務社員とさまざま。そのため、それぞれにどう業務を分担すればいいのか、ということが一番の課題でした。特に、子どもの病気で急に休んだり早退したりしなければいけない社員の業務の振り分け、フォローの仕方などには常に頭を悩ませていました。

――研修前後で、どんな風に業務の分担方法を変えたのですか。

奥村:以前は、緊急性の高い案件や重要な業務は「時短の人には任せられない」と私が勝手に判断していたんですね。でも、研修で自分の中にある無意識の偏見とコミュニケーションの大切さに改めて気付き、本人とじっくり話し合ってみたら、時間内に対応できることもたくさんあることがわかりました。ダイバーシティ(多様性)はある程度理解していましたが、インクルージョン(多様性を受け入れて、積極的に活かす)という意識が全くなかったんです。今はできるだけこまめに進捗確認や打ち合わせをし、もっと力を発揮してもらえるよう心がけています。

■時間ではなく「アウトプット」で評価する時代へ

――多様な働き方が認められていくことで、社員の管理や評価が難しくなってくる側面もあります。

増田:多様な人が混在している"だけ"では意味がない。管理職は部下を活用するためのスキルを身につけなければならないんです。これまで以上に、コミュニケーションを深めて相手のさまざまな事情を理解しながら、チーム、会社が目指していく方向性をすり合わせる必要があるのではないでしょうか。

そのうえで、成果、つまり「アウトプット」をどう評価していくか、ということが大事になると思います。私自身も1歳の子どもがいるため、時短勤務で復帰し、今は在宅勤務を併用しながら働いていますが、それで成果を出せるのなら、会社としても本人としても一番いいですよね。では具体的にどういう「アウトプット」を求めるのか、明確に部下に伝えていかなければならないんです。

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1月にアシックス社で行われた「P&G D&I研修プログラム」の様子。

■「日本人男性」的社員しか働けない企業は生き残れない

――アシックスの管理職に占める女性の割合は8.0%(2016年度)。女性リーダーの育成にはどのように取り組まれていますか。

増田:従業員に占める女性の割合が約3割ですので、将来的には女性の管理職も3割を目指しています。それに関しては3つの課題があります。まずは女性自身の意識改革。「管理職になりたいか」という質問に男性の63%が「はい」と答えているのに対して、女性は28%。女性たちの気持ちを「管理職になったら面白そう」と変えていくのが1つめです。2つめは上司が本人の気持ちを上手く汲んで、活用していくこと。まさに研修で学んだ「インクルージョン」の部分ですね。そして3つめが、制度を柔軟にして働き方を変えること。

奥村:弊社でも、「働き方改革をしていこう」という声は社全体からあがっており、現在具体策を検討しています。私自身もD&I研修を通じて、コミュニケーションの重要性、それからインクルージョン実現のためには管理職がスキルを身につけなければならないということに気づけました。

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今回のP&Gの研修プログラム参加者へのアンケートでも、「メンバーの能力を勝手に決めつけていることに気づいた」「個人の異なる価値観をどう捉えればよいか悩んでいたが、本人に聞いてみればいいのだとわかった」「インクルージョンには風土や制度だけでなく、スキルが必要であることを理解した」などの声が多く寄せられた。

ダイバーシティを推進するにあたり、社内制度は整えた、企業文化を変革すべくリーダーが発信したという企業が今後着手すべきは、管理職にスキルを習得してもらうためのサポート。それがこれからの時代のスタンダードになるだろう。

(取材・文:阿部花恵 / 撮影:西田香織)

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