蓮舫氏の戸籍公開方針に「一般の人々にも悪影響」 民進党内からも異論

有田芳生参院議員は、「戸籍というもっともプライバシーに属することの公開を強いられて、それが一般人へのさらなる攻撃材料になることは目に見えている」として、一般の人々にも悪影響が及ぶ可能性について懸念を表明している。
HuffPost Japan

民進党の蓮舫代表が7月11日、自身が台湾籍と日本国籍の「二重国籍」だった問題をめぐって、日本国籍の選択宣言をしたことを証明するために、戸籍を公開する考えを表明した

都議選大敗で党内から責任追及

戸籍の公開は、東京都議選での大敗を受けた党内からの突き上げを封じ込める狙いとみられている。

今井雅人衆院議員は7月9日、「まずは、蓮舫代表の二重国籍問題を解決することだ」などとTwitterに連続して投稿し蓮舫氏の責任を追及した

また、産経ニュースによると、11日に開かれた国会議員会議では、升田世喜男衆院議員が「誰かが責任を取るべきだ。二重国籍問題もクリアにすべきだ」と発言した。

こうした発言を受けて、蓮舫代表は11日の党執行役員会で、近く戸籍謄本を公開する方針を明らかにした。

「一般の人々にも悪影響が」「説明責任を果たそうとしている」党内でも議論が噴出

しかし、戸籍という個人情報を明らかにすることは、差別に屈する悪しき前例になるとして党内からも異論が上がっている。過去に戸籍の情報が不正取得され、結婚や就職などでの差別的な調査に悪用されたこともあるからだ。

有田芳生参院議員は、蓮舫氏が登録されているとみられる「国籍選択をしたものの戸籍」には「『国籍選択の宣言日』として『国籍選択届』を提出した日付がある」と解説した上で、「それを知って何の意味があるのでしょうか」と投稿。

さらに、「戸籍というもっともプライバシーに属することの公開を強いられて、それが一般人へのさらなる攻撃材料になることは目に見えている」として、一般の人々にも悪影響が及ぶ可能性について懸念を表明している。

一方で、原口一博衆院議員は、政治学者の山口二郎氏らによる「『真正な日本人たれ』という同調圧力に屈した」などの指摘に対して反論する形で、蓮舫氏は「より確かな説明責任を果たそうとしている」との解釈を表明した。

共産・小池氏は「差別的で、不当な攻撃は断固として跳ね返すべきだ」

また、共産党の小池晃氏は2016年9月の自身の投稿をリツイートする形で再度意思を表明。「差別的で、不当な攻撃は断固として跳ね返すべきだ」としている。

純血主義者の言動に乗っててしまう行動では?との質問に蓮舫氏はこう答えていた。

ハフポストは2016年9月12日に蓮舫氏に「二重国籍」問題についての見解を尋ねている

2009年の民主党の政策集では制度を見直し「重国籍容認」を目指すという政策を掲げていた。蓮舫氏はこの政策に賛成の立場を取る一方で、「疑惑」が報じられた後で「私は日本人です」と発言するなど、純血主義者や排外主義者の言動に乗ってしまったかのような「どっち付かず」の態度もしていた。

その点についてハフポストの質問に、蓮舫氏はこのように答え、仕方のない面もあるとの見方を示していた。

——一方で自らも「日本人です」と発言された。これが、純血主義や排外主義の人々の言動に乗ってしまう行為ではとの批判もありますが

日本で生まれて育って、それこそ「我が国のために働きたい」と思って、3回、国政選挙で手を挙げて。そこにおいてなお「日本人である」と言わざるを得ない環境が、正直「あ、これが今の日本の環境なのかな」と思っています。私が「日本人です」というのは、私の思いです。それは何と言われても言います。

——普通に暮らしている人にとっては、出す必要のないプライバシーに関する資料を公開しています

公人として求められれば、ちゃんと説明を尽くさなければならないとは思っています。

蓮舫氏の国籍問題、これまでの経緯

なお、蓮舫氏はこれまで、自身の国籍について以下のことを明らかにしている

・1967年に台湾籍の父(故人)と日本人の母の長女として、日本で生まれた。

・出生時点の日本では父親の国籍しか取得できなかったため台湾籍として日本で暮らした。

・日本と台湾が断交した1972年以降は中国籍の表記となった。

・日本の国籍法改正により1985年1月21日、17歳の時に日本国籍を取得した。

・同時期に父と台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)を訪れて台湾国籍放棄の手続きをしたと記憶し、過去にそう説明してきた。

・しかし、実は「代表処での父親の台湾語がわからなかったので、実際どういう作業が行われていたかわからなかった」と明らかにする(2016年9月6日の記者会見)

・指摘を受けて国籍について台湾側に問い合わせ、戸籍が「残っている」と2016年9月12日に返答があった。

・念のため、2016年9月6日に再度、国籍放棄の書類を提出した

・「二重国籍」状態になっていた台湾籍の離脱手続きが完了したと報告(2016年9月23日

・日本国籍を選択したことを証明する戸籍謄本を公開する考えは、「ない」と強調(2017年5月25日

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