「新国立競技場」建設で新入社員が過労自殺か 残業200時間超、遺族が労災申請

東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の建設現場で働いていた新入社員がうつ病になり自殺したのは過重労働が原因だとして、社員の遺族が労災を申請していたことが分かった。
Cranes are seen at the construction site of New National Stadium for the Tokyo 2020 Olympics and Paralympics in Tokyo, Japan May 26, 2017. REUTERS/Issei Kato
Cranes are seen at the construction site of New National Stadium for the Tokyo 2020 Olympics and Paralympics in Tokyo, Japan May 26, 2017. REUTERS/Issei Kato
Issei Kato / Reuters

東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設の工事を請け負う建設会社の新入社員の男性=当時(23)=が3月に自殺したのは、残業が月200時間を超えるなど過重労働が原因だったとして、遺族が労災を申請した。代理人の川人博弁護士が7月20日に記者会見して明らかにしたもので、NHKニュースなどが報じた。

計画の見直しから施工が遅れた工事を工期に間に合わせなくてはならないと精神的に追い詰められた結果、うつ病になり自殺したということで、今月12日、男性の両親が過重労働が原因だとして労災を申請したということです。

川人弁護士は組織委員会や東京都などにも改善措置を要請していくということで、両親は「息子と同じように過労で命を落とす人を出したくないという思いでいっぱいです。会社には働く者の命と健康を守るために力を尽くしてほしい」とコメントしています。この建設会社は「長時間労働を引き起こし勤務管理の体制に不備があったことは認識していて、今後、就業規則の見直しに取り組んでいきます」としています。

新国立建設現場で働く新入社員自殺 遺族が労災申請 | NHKニュースより 2017/07/20 16:38)

代理人らが工事現場のセキュリティー記録などを調べたところ、失踪する前の1カ月間は211時間56分の残業が認められた。深夜労働が常態化し、徹夜勤務もあったという

新国立競技場は総工費膨張で旧計画が白紙撤回されたため、2016年12月に当初予定より1年余り遅れて着工、急ピッチで工事が進んでいる。川人弁護士は「作業日程が極めて厳しかった。国家的行事だからといって労働者の命が犠牲になってはならない」と強調した

男性は大学卒業後、16年4月に都内の建設会社に就職。12月中旬から新国立競技場の地盤改良工事の作業管理に従事していたが、3月2日に失踪。4月に長野県で遺体で発見された。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」などとする遺書が残されていたという。

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