ヤフオク、メルカリで象牙取引 世界自然保護基金が日本政府・企業に規制強化を訴え

ヤフオクでは9788個の象牙製品が取引され、推定取引額は4520万円にのぼることが判明した。
Elephants play in Amboseli National park, Kenya, February 10, 2016. REUTERS/Goran Tomasevic
Elephants play in Amboseli National park, Kenya, February 10, 2016. REUTERS/Goran Tomasevic
Goran Tomasevic / Reuters

世界自然保護基金(WWFジャパン)の野生生物取引監視部門・トラフィックは8月8日、日本でのネット上における象牙の取引に関する調査結果についての報告を発表した。報告書では特に、「ヤフオクとメルカリで活発な象牙取引が確認された」と指摘し、政府や企業に対する規制を訴えている。

調査は2014年に続いて行われ、大手ECサイトの「楽天市場」「ヤフーショッピング」や、オークションサイト「ヤフオク!」、個人間取引の「メルカリ」「ラクマ」が調査対象となった。調査期間は2017年5〜6月の4週間。

その結果、ヤフオクでは9788個の象牙製品が取引され、推定取引額は4520万円にのぼることが判明した。また、メルカリでも573個の出品があったといい、その中には違法に輸入された出品も含まれたという。報告書では「ヤフオクとメルカリで活発な象牙取引が確認された」と指摘している。

この結果を元に、WWFジャパンとトラフィックは「ネットオークションやフリマサイトで、個人による象牙の取引が活発に行なわれていること、そして、このように問題のある海外の象牙製品が紛れ込むリスクを防げていない、現在の法規制の抜け穴は、最大の問題」として、日本政府に対する規制と対策の導入・実施を勧告した。

トラフィックでは、これらの企業が2014年の勧告以来対策を行わっていることは認めつつ、「より厳しい対応を求める」としている。

日本での象牙取引の現状

象牙取引を巡ってはアフリカゾウの密猟との関係が指摘されている。中国やアメリカではすでに国内での象牙販売が原則禁止となっている。

日本は1980年代ごろ、世界最大の象牙消費国だった。1989年以降、ワシントン条約によって象牙の国際取引は禁止されたが、日本では国内での販売は禁止されていない。そのため、輸入禁止になる以前に国内に持ち込まれていた象牙の売買は、現在も行われている。個人間での売買については、許可などの制度もない。

また、2012年ごろからは、日本から中国への違法輸出が発覚するようになり、トラフィックは日本国内での売買が違法な国際取引の糸口になっている可能性があると指摘している。

▼焼却処分される象牙▼

象牙を焼却処分

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