フランス政府、在宅勤務の奨励を明言⇒雇用側の負担を指摘する声も

6割以上のフランス人が在宅勤務を希望しているが、希望がかなっているのはそのうち2割弱。
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従業員にとっては夢、経営者にとっては悪夢だ。労働法の改革に向けた取り組みが進んでいるフランスで、ミュリエル・ペニコ労働相が「在宅勤務」について言及した。

「働き手の新たな自由は、在宅勤務にかかっています」とペニコ労働相は、エドゥアール・フィリップ首相と臨んだ8月31日の記者会見で断言した。ペニコ氏によれば、フランスの被雇用者の61%が在宅勤務という形態を望んでいるものの、実際に希望がかなっているのはそのうちの17%にすぎないという。労働大臣はこの働き方を奨励したい考えだ。

「在宅勤務はフランス人の61%の夢であり、仕事における幸福の質の一要素です。私たちはこれを確保していきます」

ペニコ労働相は在宅勤務に多くの利点を見ている。それはプライベートの時間と仕事時間のバランスを改善し、仕事上の幸福の質を高めるだけでなく、地方に住む人々の雇用を繋ぎとめる。この雇用形態を奨励するために、ペニコ氏はその立ち位置と仕組みをさらに「確保していく」と発言したのだ。

とはいえ政府が発表した労働法改革に向けた綱領には、この件に関して大胆なことは何ひとつ書かれていない。それが狙いとしているのは、綱領中の以下の文章が示すように、単にこの勤務形態を風習にしていくことだ。

「個人的な各種制約に対処すべく、在宅勤務による勤務方法を選ぶ資格のあるすべての被雇用者は、事前に予告された条件のもとで、組織全体の同意、あるいはそれがなければ憲章によって、雇用主に在宅勤務の利益を求めることができる」

Twitter上で法学教授のリュック・ド・モンヴァロン氏も指摘しているように、改革案では在宅勤務をした際の仕事量についても考察がなされている。プライベートと仕事の生活の境界がなくなることは、在宅勤務のデメリットの一つとされている。

「綱領を開く」 「Ctrl+Fを押す」 「Charge de travail(仕事量)と入力」 在宅勤務に関しておもしろい結果が。

フランス政府にとって、在宅勤務の奨励は政府の人気という点でプラス要素となる。働き手には支持されているこの勤務形態はしかし、ある調査によると企業の60%によって拒否されているという結果が出ていた。

また政府が、在宅勤務を企業に義務として強いることは無論できない。理由は明らかだ。この件に関して社内で議論を重ね、全体の同意を得てほしいという政府の思惑とは裏腹に、組織の根幹を変えかねない重要な改革をトップダウン式に推し進めることは従業員の反感を買いかねないからだ。

人事部の代表者は「雇用主から在宅勤務の許可を得るための5つの金言」を読んで、従業員との議論に備えるしかなさそうだ。

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

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