ロレアル、トランスジェンダーのモデルとの契約解除 その理由に波紋広がる

「ロレアルは多様性を支持します。マンロー・バーグドルフの発言は私たちの価値観から矛盾している」
マンロー・バーグドルフ
マンロー・バーグドルフ
Santiago Felipe via Getty Images

化粧品大手のロレアルが9月1日、イギリスの広告キャンペーン・モデルに起用したトランスジェンダーのモデル、マンロー・バーグドルフ(Munroe Bergdorf)との契約を終了すると発表した

バーグドルフが自身のFacebookに投稿した人種問題に関するコメントが契約終了の理由だとしており、イギリスを中心に波紋が広がっている。

現在29歳のバーグドルフは、ジャマイカ人の父を持ち、DJやデザイナー、モデル、活動家など様々な肩書きを持つ。自身のセクシュアリティについてトランスジェンダーと公言しており、8月下旬、ロレアルの新しいキャンペーン「All Worth It(すべてに価値がある)」に起用された。

しかし、バーグドルフが自身のFacebookに投稿した内容が注目を浴びた。イギリスの大衆紙デイリーメールが8月31日、バーグドルフが「"すべての白人が人種差別主義者だ"と宣言した」との記事を掲載した

現在投稿は削除されているが、BBCによると、バーグドルフは8月12日にアメリカのバージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者、ネオナチや反対派の衝突について、以下のようにコメントしたという。

正直に言って、私は白人による人種差別的な暴力について話すエネルギーがありません。そう、すべての白人によるものに、です。

あなたたちのほとんどが、自分の存在や特権、そして人種としての成功が、有色人種の人々の背中や彼らが流した血、そして死に基づいて作られたものであると、認識することも拒否することもしていないからです。

あなたの存在そのものが、人種差別にどっぷり浸かっているのです。

その後、ロレアル・イギリスは公式Twitterで「バーグドルフの発言は私たちの価値観から矛盾している」として、バーグドルフをキャンペーンモデルから降板させると発表した。

ロレアルの「All Worth It」キャンペーン。ヒジャブをかぶったモデル、車椅子に乗ったモデルなども起用された。
ロレアルの「All Worth It」キャンペーン。ヒジャブをかぶったモデル、車椅子に乗ったモデルなども起用された。
Prince's Trust/L'Oreal via Getty

バーグドルフは9月1日、Facebookを更新。「"すべての白人が人種差別主義者"と述べた時、私は西洋社会全体が白人優越主義に根ざしたシステムであり、他の人種よりも白人が恩恵を受け、優先され、保護されるシステムであるという事実を表していました」と説明し、デイリーメールの記事やロレアルの決定に対して抗議の意を示した。

「美容業界に蔓延している多様性の欠如や差別に立ち向かう代表者として、有色人種の、トランスジェンダーの女性が大きなブランドのキャンペーンに起用された時。彼女は、実際に経験している差別について語り、その差別のルーツはどこにあるのか明らかにしなくてはいけません。

それは、白人優越主義と制度的な人種差別であり、ブランドは彼女の考えが『ブランドの倫理に沿ったものではない』と簡単に主張することはできません」

ロレアルは2017年1月にトランスジェンダーのモデルを初めてキャンペーンに起用するなど、多様性を重視してきたブランドだ。ネット上では、「#BoycottLoreal(ロレアルをボイコットしよう)」とハッシュタグを付けてバーグドルフへの支持を表明する声も広がっており、波紋を呼んでいる。

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