日本より人気? 韓国の若者はなぜ、サントリーのチューハイ「ほろよい」を飲むのか

韓国人も「ゆったり」「まったり」飲みたい?
urbest1231 / Instagram

アルコール度数が低く、気軽にお酒を楽しめる缶チューハイの「ほろよい」。今、韓国で人気が出ている。日本よりもハードな”飲み会文化”が根強く、韓国焼酎など度数の高いお酒が親しまれる韓国で、なぜ「ほろよいブーム」が起きているのか。

■韓国で「ほろよい」はどれぐらい人気?

Instagramで「#호로요이」(韓国語で「ほろよい」)という単語を検索すると、投稿件数は12万件にものぼる。

호로요이 한박스 사다놓을꺼야...🍑

해솔 25🍃さん(@haes2ol__)がシェアした投稿 -

「ほろよい一箱買っておこっと...🍑」

고마워😍 #일본여행 #일본선물 #호로요이 #퍼펙트휩 #스와로브스키 #일본여행선물 #🇯🇵

Clara Jeonさん(@twinkle.clara)がシェアした投稿 -

「ありがとう😍 #日本旅行 #お土産 #ほろよい」

「私のルームメイトとほろよいごくり」

現地のスーパーやコンビニでも、「ほろよい」にお目にかかれる。

韓国・ロッテマート金浦空港店。他の外国産のアルコールも並ぶが、ほろよいだけで一列占めている。
韓国・ロッテマート金浦空港店。他の外国産のアルコールも並ぶが、ほろよいだけで一列占めている。
Shoko Komuro

■「ほろよい」ってどんなお酒?

サントリーが売り出した「ほろよい」は、アルコール度数が3%と低い。お酒が強くない人でも飲みやすいチューハイとして売り出されている。

ラインナップは20種類近くあり、季節限定の味も。果実をベースにした味が多い。パッケージはフレーバーに合わせて可愛らしく、柔らかい色合いが使われている。

■実際、どれくらい売れてる?

実際、どのくらい売り上げているのだろうか。

サントリーによると、韓国では2016年6月の販売開始から7ヶ月で、19万ケース売り上げたという(1ケースあたり250ml×24本換算)。

同社によると、韓国のチューハイ市場の輸入商品のなかでトップの売り上げだという。

サントリーが韓国での「ほろよい人気」を知ったのは、SNSでの一般のお客さんの投稿。日本を訪れた韓国人が「ほろよい」を買って飲んだり、持ち帰ったりした様子が次々とネットにあがった。ある韓国アイドルが、自身のSNSに「ほろよい」の写真をアップしたことも影響しているかもしれないとしている。

さらに免税コーナーなどで「ほろよい」の売り上げが大きくなったため、韓国での販売に踏み切った。

「ほろよいの参入で、2016年の韓国でのチューハイ市場は、前年の3倍になった」とサントリーの広報担当者は話す。韓国で同時期に類似商品が登場してきた点も挙げられると分析した。

韓国の酒類メーカー「HITEJINRO」が2016年4月に発売した「イスル・トクトク」。
韓国の酒類メーカー「HITEJINRO」が2016年4月に発売した「イスル・トクトク」。
Shoko Komuro

■韓国でのお酒文化が変わりつつある...?

「お酒大国」のイメージが強い韓国。

2011年に公開された世界保健機関(WHO)の報告書では、韓国はアルコール度数の高い焼酎やウイスキーなどの蒸留酒の消費量が世界最多だった。アルコール度数が低いお酒まで含めた全体の消費量でも、世界13位。

「お酒=親睦」で、お酒の席は半ば強制的だった。乾杯と同時に、強い韓国製の焼酎のグラスが次々と空になっていく。

韓国では、17度前後の韓国製焼酎をショットグラスでストレートに、もしくはビールと混ぜた「爆弾酒」として飲むのが一般的だ。どのくらい飲めるのか、焼酎のビンの本数で言い合うのが挨拶代わりだ。

一方で、 大学生の間で「ノンアルコーラー」という造語が使われたり、Facebookで「お酒が嫌いな人たちの集まり」といったぺージが作られたりもしている。このページは現在、22万人のフォロワーがいる。

お酒なしでも親睦を深められると主張する人も出てきて、「ひとり酒」や「宅飲み」がじわじわと広がっているようにみえる

■くつろぎながらまったり、が韓国の若者にもささった?

そもそも「ほろよい」は、お酒の初心者向けに作られた「入門編のお酒」(サントリー広報)だという。ところが、家でくつろぎながら、そこまで酔いたくない日本の消費者に受け入れられた。

長らく”飲み会文化”が根付き、お酒好きと思われてきた韓国でも、若者に「ほろよい」がささっている。

行きたくもない飲み会に行って、飲めもしない強いお酒を周りに合わせて飲む。こうした飲み会文化に疲れ、低アルコールのお酒を、ゆったり、まったり1人で楽しんでいるのかもしれない。

日本と韓国の関係について、物理的には近いけれども心理的には遠いという意味で、ときに「近くて遠い国」と表現されているが、少なくとも消費者ニーズは似ているようだ。

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