「理想の結婚相手、顔よりも大切なのは…」 17歳の女子高生が考えてみた

17歳の目線で考える、共働き家庭の10年後とは。
取材を受けてくださった R.Kさん(左)、ライアンさん(中央)、ユキさん(左)
取材を受けてくださった R.Kさん(左)、ライアンさん(中央)、ユキさん(左)
Marin TOGASHI

私はいま17歳の高校生です。私を含めて多くの同世代は、およそ10年後には結婚している可能性があります。その頃、どんな結婚相手が理想になるのか、考えてみたいと思います。

厚生労働省の「配偶者手当の取り巻く環境について」という資料を見ると、1980年から共働き家庭の数は緩やかに上がっており、その一方で、専業主婦家庭の数は緩やかに減っています。

1996年あたりを目処に「共働き家庭」の方が専業主婦世帯を上回りました。

共働き家庭の増加には、女性の社会進出のほか、リーマンショックをきっかけに"男性のみが働く"ということがリスクとして考えられるようになったことが背景にあると言われています。これからも、共働き家庭は増える見込みです。

夫婦のあり方が時代とともに変わって行っている。それなのに、学校では「共働きが上手くいくコツ」や「結婚相手の選び方」なんて授業はありません。

■生の声をアンケートしてみた

そこで、同世代の高校生76人を対象に、結婚相手に求めるものを『愛・お金・顔・育児スキル・家事スキル』で重要度別にランキングしてください」という質問を投げかけてみました。比較するため、実際に共働きで子育てをしている方たち87人にも回答していただきました。

まず、一番気になるアンケート結果です。

Marin TOGASHI

どちらも「愛」を1位にあげていますが、高校生と違って、実際に共働きをされている方は、「お金」や「育児スキル」を上位にあげています。「顔」はなんと一番下です。

なぜそうなっているのか、身の回りの共働き家庭3組に取材してみました。

■ケース1:夫婦どちらも家の外で働いている場合

R.Kさんご本人の写真
R.Kさんご本人の写真
Marin TOGASHI

R.Kさん(男性)

自身の職業:教員

奥さんの職業:非常勤の教員

お子さん:長男(小2)、長女(3歳)

R.Kさんは都内で教師をしており、学校ではクラスの担任と部活の顧問もされています。

奥さんも教師ですが、非常勤なので担任などはなく、R.Kさんよりは勤務時間が短いそうです。

平日

Marin TOGASHI

休日

Marin TOGASHI

平日は部活の指導後に雑務処理があり、お子さんとの時間は、家に帰ってから一緒にお風呂に入ったり、仕上げの歯磨きをしたりする程度しかない状況だそうです。

休日でも部活の大会が入ってしまうと、帰宅時間は平日とほぼ変わらないそうです。

R.Kさんの取材でわかったこと

  • 二世帯で暮らしている事と、近くに義理の姉夫婦が住んでいる事により、忙しい時に協力してもらいやすい。
  • 奥さんがフルタイムで働きたいという要望もあるが、夫婦ともに常勤勤務だと家事・育児の時間が十分に取れないと判断したため、断念。
  • 家事・育児を「できるほうがやる」という役割分担だと、(奥さんが非常勤という事もあり)負担が偏りすぎてしまい、不満が出る。
  • 教師という職業上、子どもの学校関連のイベントが仕事とかぶる事が多い。
  • 常勤で教師をしても、時間割の調整や部活の先生を代わってもらう事で多少育児に参加できる。しかし他の先生に負担がいってしまうこともあり、あまり望ましい対策は未だない。

■ケース2:夫婦どちらかが家の中で働いている場合

ユキさんがピアノを演奏する様子
ユキさんがピアノを演奏する様子
Marin TOGASHI

ユキさん(女性)

自身の職業:ピアノの先生(リトミックや伴奏のお仕事もしています)

旦那さんの職業:会社員

お子さん:長女(19歳)、次女(16歳)、長男(13歳)

現在お子さんはだいぶ手が離れているので、ご長男が生まれたばかりの頃のお話をしていただきました。午前中は保育園に出張してリトミックを教え、午後は自宅の一室でピアノ教室をされています。

平日

Marin TOGASHI

休日

Marin TOGASHI

長男が幼い間は、長女に小学校が終わり次第急いで家に帰ってきてもらい子守を頼んだり、ピアノ教室の送り迎えにきた生徒のお母さんが子守をしてくれたりしてレッスンを行っていたそうです。

ユキさんの取材でわかったこと

  • 夫婦でお互いの得意不得意を把握し、できる範囲で家事の役割分担をしている。(例:ユキさんは寝るのが遅く、朝が苦手なので朝ごはんやお弁当作りは早起きのできる旦那さんが担当)
  • 自宅でのピアノレッスンの合間を縫って子どものお迎え・授乳・家事をこなし、自分の勉強もしていたため、ユキさん自身の睡眠時間が十分に確保できない。
  • 長男が幼い頃、日中がとても忙しいときはベビーシッターを利用するか、実家が遠いのでご近所さんなどの協力でやりくりしていた。
  • 自宅でレッスンをするため、家族がインフルエンザなど感染性の病気になると仕事が完全に中断されてしまう。逆に言えば、子どもが病気の時に病児保育ではなく自宅で親と安心して療養できる環境にある。

■ケース3:夫婦どちらもが家の中と外で働いている場合

ライアンさんの取材中の様子
ライアンさんの取材中の様子
Marin TOGASHI

ライアンさん(男性)

自身の職業:ハフポスト日本版編集長

奥さんの職業:ネットメディア企業社員

お子さん:長男(9歳)

ご夫婦ともメディアのお仕事をされており、世の中の動きによっては休日に取材が入ってしまったり、家でリモートで仕事をしたりするそうです。

平日

Marin TOGASHI

休日

Marin TOGASHI

平日は朝から晩まで仕事!というぐらいのスケジュールをこなされています。ただ、そこで仕事まみれになるのではなく、家族間で密な連絡を取り、子どもと話す時間をたくさん設けています。

ライアンさんの取材でわかったこと

  • 夫婦の職業が同じ業種なので、急な仕事が発生しても理解が得られやすい。
  • 早起きをして子どもの宿題を見たり朝ごはんを作ったりする時間を作っている。しかし、深夜に仕事(NYとのビデオ会議)があると、必然的に睡眠時間が減ってしまう。
  • 子どもに携帯を持たせる事で、家族間でLINEのグループで逐一連絡ができ臨機応変に動く事ができている。「いまから2時間後に子どものお迎え行ける?」「明日は夜に会食が入るから、朝やることをLINEで確認しあおう」というメッセージが飛び交う。
  • ライアンさんが男性として育休を取った事により「育児には終わりがない」ことや「突発的な出来事が多く、対応力がポイントであること」を夫婦で学べた。
  • 夫婦間での話し合いや状況報告をGoogleドキュメントなどオンラインで記録に残るようにしている。それにより、無駄な確認作業もなくお互い持てる限りの情報を持った状態で迅速かつスムーズに話し合いができる。カレンダーもオンラインで共有している。
取材を受けてくださった3名
取材を受けてくださった3名
Marin TOGASHI

■共働き世帯が「お金」と「育児スキル」を重視する理由とは

この取材では、3家庭のお子さん全員が1人1つ以上の習い事をしていました。加えて、子どもの将来に向けて学費保険などがかかってきたり、共働きで仕事を休めない場合は病児保育や延長保育、ベビーシッターなど想定外のお金がかかってくるそうです。

そういったところを踏まえて、実際に共働きで育児をされている方はアンケートの2位に「お金」をもってきたのだと思います。

育児スキルについては、子どもと過ごす時間と夫婦の満足度は比例していて、どちらも働いているためどちらかが「手伝う」という認識ではなく夫婦二人三脚でやっていく必要があります。そのため共働き家庭のランキング3位に「育児スキル」が入ったのだと考えます。

■理想の結婚相手、本当に必要なのは「コミュニケーション能力」

ただ、取材を通して分かったことがあります。

それは「お金」や「育児スキル」が大事なのはもちろんですが、共通して言えるのは共働きは家族みんなの協力がないと絶対に成り立たないということです。

共働きゆえ時間がないという声は多くあります。そこでケース3のライアンさんのように、オンラインで仕事の合間にちょこちょこ連絡をして、奥さんも仕事の合間にそれを確認し返信する。そうすることで実際に会った時、限られた時間でも濃い話ができるようになります。

つまり、将来の結婚相手に、本当に求めた方が良いものは、私がアンケートで聞いた「愛」「お金」「顔」「育児スキル」「家事スキル」の中にはなく、「協力のために話し合えるか」というコミュニケーション能力だと思いました。

コミュニケーションを取り合うことで、お金が足りないときに工夫したり、育児スキルを補ったりできます。夫婦間でお互いの「得意」「不得意」を把握することや、家族がどんな状況にあるのかをリアルタイムで理解することが「共働き」には必要だと感じました。

学校では教えてくれない、「結婚相手に求めるべきもの」をこの取材を通して学ぶことができました。

いつか私が結婚相手を決める時、どのぐらい話し合いに積極的で一緒に問題を解決できるかをひとつの判断基準にしようと思います。

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この記事は、学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」(以下、N高)とハフポスト日本版が提携し、高校生がWEBニュース記事を制作するプロジェクト学習「ハフポストチャレンジ」の一貫で制作されました。

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