「第3の性」認める法改正へ ドイツ憲法裁が国に命じる

「第3の選択肢」が実際に公的文書でどのような表現になるかは、まだ決まっていない。

ドイツの連邦憲法裁判所は11月8日、国に対して「男性」「女性」以外に「第3の選択肢」を認めるための法改正を命じる判決を出した。連邦議会は2018年末までに、出生届の選択肢に第3の性を含める新たな法律を可決しなければならない。

訴訟では、生まれつき男性と女性両方の身体的特徴がある原告が、戸籍に登録された性別を、「inter/diverse(中間/多様)」もしくは「diverse(多様)」に変更することを求めていた。原告は戸籍に女性として登録されたが、染色体分析では男性でも女性でもないとの結果が出ていた

ドイツでは2013年、ヨーロッパで初めて、インターセックス(身体の性別が男性・女性の枠に当てはまらない)の子供の親たちが、子供の出生届の性別欄を空欄にすることが認められた。

BBCによると、この決定がなされる以前のドイツでは、性別に疑問がある場合は、当局が女性か男性かのどちらかを選んだ。そして多くの場合、インターセックスの人たちは激しい痛みが伴い、かつやり直しの効かない性別変更手術を強いられていた。

今回の判決はさらに踏み込み、出生届に空欄ではなく、「第3の選択肢」を設けるよう求めた。この第3の選択肢が実際に公的文書でどのような表現になるかは、まだ決まっていない

■他の国々ではどのようになっている?

既にインドやデンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、ネパールなどの国々では第3の性が認められており、オーストラリアのパスポートでは第3の性が「X」と表記される

カナダは8月に、男性でも女性でもない性別を「X」と表記するパスポートの発行を開始。6月には性別が未確定な新生児のために“unspecified(未指定)”などを意味する「U」と記載された健康カードも発行した。

【Update】

ドイツでは2019年1月から、出生届や運転免許証などの公的書類で「男性」「女性」に加えて、「diverse(多様)」を選べるようになった

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