北朝鮮の追撃兵が軍事境界線を越えていた? 韓国軍の対応が問題になる可能性も

もし事実なら、警告放送や警告射撃をしなければならなかったが…
板門店(2017年9月8日)
板門店(2017年9月8日)
Corbis via Getty Images

朝鮮半島の南北軍事境界線がある「板門店」で11月13日午後、北朝鮮軍の兵士1人が韓国側に亡命した。その際、共同警備区域で北朝鮮軍兵士4名が追撃し、銃弾が南北軍事境界線(北緯38度線)を越えたかどうか韓国内で論争となっていた

しかしここに来て、北朝鮮の追撃兵が軍事境界線を越えたのではないかという新たな疑惑が浮上している。もし事実であれば、警告放送や警告射撃をしなかった韓国軍の対応が問題になりそうだ。東亜日報中央日報が報じた。

監視カメラの映像は

国連司令部の軍事停戦委員会は15日、共同警備区域内に設置された監視カメラの映像公開を決めた

Newsisは、監視カメラの映像公開で、韓国軍の対応への疑惑解消が期待できると報じていた

事件当時、韓国軍が応射などの対応措置を取らなかったこと、負傷した亡命兵士をすぐに発見できなかったことから、韓国軍の対応が適切だったかどうか議論が紛糾している。

朝鮮日報によると、監視カメラの映像のうち、26秒間の映像が公開される予定だった。そこには、亡命の様子や追撃の場面が含まれていると伝えられた。

しかし、国連司令部関係者は「国連司令部内でさらなる意見調整の必要がある」とし、映像の公開を撤回した。

結局、映像の公開は白紙化された

カメラ映像には

公開されなかった監視カメラの映像には、北朝鮮軍の追撃チームが軍事境界線付近で右往左往する姿が収められたと韓国の報道各社が報じた。

国連軍司令部の監視カメラの映像には、北朝鮮軍兵士たちが亡命兵を照準射撃し、軍事境界線付近でしばらく止まって、ためらう場面が含まれているとNews1が伝えた

東亜日報によると、亡命兵士を追いかけた北朝鮮軍の追撃チーム(4人)のうち1人が、軍事境界線上にある「中立国監視委員会」の建物(北朝鮮側の施設)の中間下部まで南下し、他の追撃チームらが呼ぶと、慌てて戻る姿が映像に収められた。この過程で追撃チームは躊躇したり、右往左往する姿を見せたという。

東亜日報は、北朝鮮軍の兵士が軍事境界線を越境したことに気づき、当惑した可能性を裏づけているとの軍消息筋のコメントを報じた。

中央日報も、共同警備区域内の「軍事停戦委員会」本会議場(南側の施設)の建物が、軍事境界線を中心に南北で同じ面積で建てられているため、軍事境界線は目分量で推定が可能だと伝えた。

映像だけでは判断できないとの声

News1は、事件現場には軍事境界線を区分する境界標が設置されておらず、映像だけでは判断できないとの意見を伝えた。

映像を直接見た軍当局の関係者は「監視カメラの映像を通じてでは、北朝鮮軍が軍事境界線を越えたかどうかを判断すること難しかった」と明かした。銃撃と追撃が発生した場所には軍事境界線を区分する境界標が設置されておらず、映像だけで軍事境界線の侵犯の有無を判断することは容易ではないとした。

もし軍事境界線を越えていたら

北朝鮮軍側が軍事境界線を侵犯した場合、国連軍司令部・共同警備区域の交戦規則にのっとり、韓国軍は警告放送を実施し、それに応じて逃走した際には警告射撃をしなければならない。

しかし、韓国軍がそうした対応を取らなかったとの結論が出た場合、後続対応についての議論が大きくなるものとみられる

国連軍司令部の停戦委員会は、北朝鮮軍による軍事境界線の侵犯有無を含め、休戦協定を違反したかなどを調査中だ。

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