PRESENTED BY popIn

嫌われたくて、広告やってるわけじゃない。 #嫌われない広告とは について本気で考えた。

資生堂、Number Web、popIn、ハフポストがそれぞれの立場で激論。

嫌われない広告とは、「人の心にすっと入ってきて、社会を変える可能性を持つ広告」である――。

読者に受け入れてもらえるウェブ広告を考えるイベント「嫌われない広告は、ある。気持ちいいウェブ広告を本気で考える会議」が12月7日、東京・六本木で開かれた。

Kazuhiko Kuze

広告主の立場から資生堂、コンテンツ流通・分析ツールを展開するpopIn、専門メディアのNumber Web、一般ニュース・オピニオンメディアのハフポスト日本版それぞれの立場から、ユーザーにとって不快にならない広告、心地よいと思える広告とは何かを議論した。

イベントには広告、メディア関係者ら約55人が参加した。

「商品を売ることだけを目的に広告を仕掛けるブランドは、支持されなくなる」資生堂ジャパン・池田氏

広告主の立場から――資生堂ジャパンEC事業推進部グループマネージャー・池田俊之

Kazuhikko Kuze

資生堂は、2014年12月に、中長期戦略「VISION 2020」を発表しました。2020年に目指すのは、100年先も輝き続ける資生堂の原型をつくり、お客さまや社会に対してより大きな価値を発揮していくこと。VISION 2020では、「エネルギーが充満した会社へ」「若々しさがみなぎる会社へ」と謳っていますが、2014年時点で「エネルギッシュじゃない」「若々しくない」会社という評価をいただいていたことを課題と捉えました。

Huffpost Japan

まず、自分たちの立場を「by 資生堂」から「with 資生堂」へと切り替えました。今にして思うと、かつては「自分たちこそがビューティーの権威でありトップメーカー」、そして「あなたのお化粧はこうするべきですとお客さまに教える」、という姿勢が一部にあったかもしれません。そこから目線を変えました。今では生活者目線で「一緒にビューティーについて考えていく」という姿勢に変えていったのです。

私たちが出稿してきた広告が、生活者に対し、モデルの印象は残せても、直接の購買の引き金になっていたのかどうか。深い検証が必要と感じます。

個人的には、人の脳に働きかけるというか、気持ちを強く揺り動かす広告コンテンツを、広告、イベント、店頭など生活者とのさまざまなコンタクトポイントを通じて相応しいカタチでお届けし、生活者の態度変容を促していくことが広告主側に求められているのかな、と今感じています。クリックさせて商品を売ることだけを目的に広告を仕掛けるブランドは、支持されなくなっていくでしょう。

「PV・UUに代わる、コンテンツの価値を証明するための指標、それが『読了率』」popIn・高橋氏

コンテンツの流通・分析を担うアドテク企業の立場から――popIn・高橋大介取締役副社長

Kazuhiko Kuze

私たちは、コンテンツの価値を向上させ、数値で証明するために、コンテンツマーケティングにおける指標として、「読了率」を提唱しています。

「読了率」とは、記事をクリックしたユーザーがどこまで読み進めたのかを示す割合です。

単に読了率が高ければ、そのコンテンツが優良とはいえません。記事が短ければ読了率が高くなるからです。そこで、読み進めるために要した時間「総読了時間」を掛け合わせることで、満足度が高かったかどうかを測っています。

また、もう一つの新しい指標である「コンテンツ消費スタイル」とは、ユーザーを知る、という観点で、サイトに来るユーザーが普段どういうコンテンツを消費(読了)しているのかがわかる指標です。読者の求めているコンテンツを把握ながら、企画内容を考えることができるだけでなく、広告主への提案の裏付けデータとしても使うことが可能です。

Kazuhiko Kuze

広告配信でも同様に、ユーザーが読んでいる記事の文脈(コンテクスト)に合った記事体の広告をおすすめコンテンツとして届けていくようにしています。広告を一方的に押し付けるのではなく、ユーザーがどんなコンテンツを求めているのかを意識し、それぞれのユーザーのコンテンツ体験の中に自然に溶け込めるような広告のあり方を議論しながら、クライアントとのより良い関係性を作り上げていきたいと考えています。

広告は、「心地よい3C」、つまり、コンテクスト、クリエイティブ、コミュニケーションを大事にすることが大切です。記事内容に関連のある広告を載せる、ユーザーを不快にさせない写真やコピーを使う、読者のニーズを捉え、人間の目を通してユーザーにふさわしい広告を提供することで、ユーザーは心地いい体験を得られると考えています。

こうして、ウェブで従来主要な指標だったページビューやユニークユーザーとは違った評価軸を作ることで、ユーザー体験を変えることができるのではないか、と思っています。

「1本の広告記事が6分間読まれるという現象も」Number Web・柚江氏

専門メディアの立場から――スポーツメディア「Number Web」柚江章編集長

Kazuhiko Kuze

私たちは40年近く続くスポーツ雑誌『Sports Graphic Number』を母体として、2009年からスタートしたウェブメディアです。最近感じるのは、歴史ある文藝春秋社にいる私たちが、一周回ってメディアの先頭に立てるかもしれない、ということです。

元々はスポーツジャーナリズムの観点から、広告っぽい記事を入れたくないという姿勢でした。確かに雑誌ではたくさん純広告を入れて雑誌を膨らませればマネタイズは出来るのですが、「Numberはかくあるべし」という頑固さを持っていたので、やたらと広告を入れるのではなく、いかにきれいでネイティブなタイアップ広告を作るか、ということを30年以上模索してきました。

『Sports Graphic Number』の公式ウェブサイトとしてNumber Webを自社運営していくことになった際も、ブランドを維持し、ウェブ上でも雑誌と同じかっこよさを求め、ステイタスを得られるようにしてほしいと会社から要請されました。

文藝春秋社は編集部門と広告部門が分かれているのですが、昔から人事交流が頻繁にあります。前編集長が、現在広告部長を務め、編集部でバリバリやっていた人が、今はタイアップ広告制作をやって、広告部の人間が編集部に異動して来たりしているんです。

広告部のタイアップチームは、雑誌とウェブの両方で広告記事を作ります。過去に作ったタイアップのノウハウを生かし、かっこいい広告記事を作ろうとしています。

だから、今まで私たちが作ってきたタイアップは、編集記事のテイストに近づけるネイティブ広告そのものなのではないかと思っています。

Numberのブランドを活かす形で、広告記事に選手を登場させ、試合レポートの中にうまく広告商品を落とし込むことで、Number Webの商品価値も上がるのではないかと。

雑誌が築き上げたブランドイメージを、ウェブでも忠実に再現しようと心がけています。雑誌のファン、そしてブランドの価値は、一朝一夕で作れるものではありません。Numberの名前だけ借り、マネタイズのためという大義名分でNumber Webが好き勝手に活動してしまうと、ブランド価値が毀損する可能性があります。一度だめになったブランドは、二度とその価値を取り戻せません。

広告部の人たちも、編集と同じく高い志を持っており、広告記事を作るにも高いクオリティを求めています。Number Webでは、時に広告記事のほうが編集記事よりも読まれる、という現象が起こることさえあるくらいです。

Number Webでは詳細なユーザー動向を知るためにpopInさんを導入しています。

popInさんのデータによると、実は編集記事も広告記事も、読了率が変わらない。総読了時間は平均して6分間(会場にどよめきが起きる)。うちの広告記事は嫌われていないのかな、と思っています。

「嫌われたくなければ、世間のプロになれ」ハフポスト日本版・竹下編集長

一般ニュースメディアの立場から――ハフポスト日本版・竹下隆一郎編集長

Kazuhiko Kuze

私は、編集チームのメンバーに「世間のプロになれ」と言っています。

メディアとして、消費者や広告主が今、何を考えているのか。消費者目線、クライアント目線全てをひっくるめて「世間の目」として意識しておくことを編集部にも、広告チームのスタッフにも話しています。

編集部と広告チームに壁を作って分けるのではなく、同じフロアで頻繁に交流し、お互いがノウハウ、ニーズを共有しています。

読まれた編集記事、多くシェアされたSNS投稿を編集部から広告チームに伝える。一方で、広告チームは広告主や消費者のニーズを編集部に伝える。編集部の知見をネイティブアドに生かす、そして消費者の視点を編集記事に盛り込む。

ハフポストでは、編集・広告のメンバー全員が常に世間の風、世間のニーズに触れる「世間のプロ」であることを根本概念として大事にしています。

これができれば、メディアとクライアントが交流を深めて双方のメンバーが入ったコンテンツ制作部門を作り、それぞれ抱えているニーズを共有し、編集記事と広告を通じて、大きな社会課題の解決ができるのではないか、と考えています。

今回の議論を踏まえ、気持ちのいい広告を作るんだ、広告を通じて社会を変えるんだという観点で、明日からアクションを起こし、2018年は「この広告で社会が変わったよね」というムーブメントを作っていきたいと思っています。

Kazuhiko Kuze

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今回のイベントでは、#嫌われない広告とは というハッシュタグを使い、Twitter上で様々な意見を求めた。アンケートを実施したところ、アンケート結果に加え、興味深い意見が多数寄せられた。投稿をクリックすると投稿に紐付いたメンションが見られる。

また、ブランド企業のマーケターが集まった9月の「iMedia Brand Summit」で、popInが広告主などおよそ300人を対象に、1ユーザーとして見たときに好きな広告フォーマット、嫌いな広告フォーマットのアンケートを実施した。集計結果は以下の通り。

popIn

popIn

好きな広告フォーマットは、「誘導する仕掛けのある広告」が上位を占めた。

popIn
popIn

嫌われる広告フォーマットに共通するのは、「ユーザーのコンテンツ体験を阻害する」点にある。

左よりハフポスト日本版・竹下、popIn・高橋氏、Number Web袖江氏、資生堂ジャパン・池田氏、popIn・金谷徹氏、ハフポスト日本版・南麻理江
左よりハフポスト日本版・竹下、popIn・高橋氏、Number Web袖江氏、資生堂ジャパン・池田氏、popIn・金谷徹氏、ハフポスト日本版・南麻理江
Huffpost Japan

ハフポスト日本版はこれからも、【 #嫌われない広告とは 】について、立場を超えて議論し、提案して参ります。

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