ハリウッド女優ら約300人が、セクハラ被害者を支援する基金設立へ「もう終わりにしよう」

リース・ウィザースプーン、エマ・ストーンらが参加。
(左から)エマ・ストーン、リース・ウィザースプーン、ケリー・ワシントン
(左から)エマ・ストーン、リース・ウィザースプーン、ケリー・ワシントン
Getty

リース・ウィザースプーン、エマ・ストーン、ケイト・ブランシェットなどの女優や監督、脚本家などアメリカのエンターテインメント業界に携わる300人以上の関係者が1月1日、セクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ)と男女格差に反対し、被害者を支援する運動「タイムズ・アップ (もう終わりにしよう) 」を開始したと発表した。

職場でセクハラや性暴力を受けてきた立場の弱い女性や男性が人権を回復させる一助となるよう、テレビ、映画、舞台に関わる多くの人たちによって支援基金が設立された。支援対象は主に、農場や工場、外食産業などの業界で、訴訟費用が用意できない低所得労働者たちになる。

基金にはすでに1300万ドル(約14億6000万円)以上の寄付が集まっている。この基金の設立には、2人の弁護士ロバータ・カプラン氏とティナ・チェン氏が主導的な役割を担った。チェン氏はかつて、ミシェル・オバマ元大統領夫人の首席補佐官を務めた経歴がある。

チェン氏は、「#MeToo(私も)」というハッシュタグを使って自身の体験を告白するムーブメントが、この運動の大きな契機となったと指摘している。

職場での女性に対するセクシャル・ハラスメントがそれぞれの業界にもとから存在し、はびこっている事実が、ここ数カ月間の影響の大きさによく表れています」と、チェン氏は1日、声明の中で述べた。「これ以上何もせずに耐えていることができない、女性と男性が集まったのがこのコミュニティです」

他にも女優のケリー・ワシントン、アメリカ・フェレーラ、脚本家・プロデューサーのションダ・ライムズらも名を連ねている。ニューヨーク・タイムズによると、この運動では、繰り返されるハラスメントへの対策を怠った企業を罰する法整備を求めていく計画もある。

『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』で製作総指揮を務めたライムズは、「生計を立てるために、安全や尊厳、モラルが犠牲になってはならない」と、声明の中で述べた。

「多くの人にとって1日の大半をすごす場所、つまり職場の環境を変えるべき時が来ているのです」

権力をもつ人間に反対する声を上げた多くのハリウッド関係者が、自ら資金を提供し、SNS上で呼びかけ、「タイムズ・アップ」が始まった。参加メンバーが願うのは、どのような状況であっても、運動によってすべての女性・男性が不適切な性的行為から守られることだ。

2017年12月には、およそ70万人の女性農業労働者で構成されるアメリカの全国組織「アリアンツァ・ナシオナル・デ・カンペシーナ」が、セクシャル・ハラスメントや乱暴な行為に反対する声を上げたハリウッドの女性たちへの連帯を示す書簡を作成した。

「エンターテインメント業界で、このような問題が蔓延していることを知り、衝撃を受けていることをお伝えしたい」と、この書簡には書かれている。「残念ながら、こうした現実は、農場ではすでによく知られた問題であり、驚くことではありません」。

「タイムズ・アップ」のメンバーは1日、書簡で性暴力の犠牲になっている農場労働者や他の業界の人々への支援を表明した。

書簡には、「現状はこれまでとは異なり、メディアや重要な意思決定をおこなう立場の人々へアクセスすることで、真の説明責任や大きな成果につながることになる」と書かれている。

「あらゆる場所でセクシャル・ハラスメントに耐えたすべての人々の声が届き、信用され、説明責任が果たせることを知ってもらいたい」

ハリウッドスターたちは1日、「性暴力、ハラスメント、疎外感、過小評価に対して『終わりにしよう』と言えるように、あらゆる業界の女性たちを支持する」「沈黙は終わりにしよう、待つのは終わりにしよう、差別・ハラスメント、虐待に耐えるのは終わりにしよう」というメッセージをツイートし、基金への署名と募金を呼びかけた。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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