ICAN事務局長、広島を訪問 安倍首相との面会は「困難」 政府回答

「広島は希望の都市であり、核兵器の終わりを見届けるため、皆様と共に力を尽くします」
原爆ドームの近くを訪れたICANのフィン事務局長(右)と国際運営委員の川崎哲さん=15日午前9時42分、広島市中区、上田幸一撮影
原爆ドームの近くを訪れたICANのフィン事務局長(右)と国際運営委員の川崎哲さん=15日午前9時42分、広島市中区、上田幸一撮影
Asahi

ICAN事務局長広島に 首相との面会、政府は「困難」

2017年のノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN〈アイキャン〉)の事務局長で、初来日中のベアトリス・フィン氏(35)が15日、広島市の平和記念公園や平和記念資料館を訪れた。

この日の広島市内は曇り空。フィン氏は黒いコート姿で午前9時半ごろ、広島平和文化センターの小溝泰義(こみぞやすよし)理事長に案内されて平和記念公園に現れた。ICAN国際運営委員の川崎哲(あきら)さん(49)とともに原爆死没者慰霊碑に献花した。

その後、公園内を歩いて、原爆で亡くなり引き取り手のない遺骨を納めた原爆供養塔に。また、公園内を流れる元安川のほとりで足を止めて、対岸にある原爆ドームを沈痛な表情で仰ぎ見ていた。

平和記念資料館では約1時間滞在。被爆して亡くなった少年の衣服や、被爆後に廃虚になった広島市中心部のパノラマ写真などに熱心に見入り、資料館においてある核兵器禁止条約の早期締結を求める署名簿に記入した。芳名録には「広島は希望の都市であり、ICANは核兵器の終わりを見届けるため、皆様と共に力を尽くします」などと記した。

公園内では、英語で被爆体験を語り継いでいる被爆者の小倉桂子さん(80)の証言にも耳を傾けた。

ICANは、国連での核兵器禁止条約の採択に尽力した功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞した。フィン氏は今回、長崎大の招待に応じて来日。長崎では原爆資料館を訪れ、シンポジウムなどにも参加した。15日午後には、広島での若者との対話集会にも加わり、16日には東京で国会議員との討論集会に出席する。

一方、フィン事務局長の来日に合わせ、ICAN側が求めていた安倍晋三首相との面会について、「日程の都合があわず難しい」との回答が14日までに外務省側からあったことがわかった。ICANに参加するNGO「ピースボート」(東京)が明らかにした。(松崎敏朗)

(朝日新聞デジタル 2018年01月15日 12時38分)
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(朝日新聞社提供)

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