保湿剤「ヒルドイド」、厚労省が規制見送り 「でも美容目的の処方はNG」

「美容アイテム」として雑誌などで紹介されていたことが問題視されていた
ヒルドイドクリーム
ヒルドイドクリーム
マルホのホームーページから

保湿用塗り薬「ヒルドイド」(ヘパリン類似物質)の処方で規制を見送ったことが1月24日、厚生労働省が「中央医療協議会」(中医協)に提出した改定案で明らかになった。美容目的での処方が問題視されていたが、患者や関連学会の反対に配慮し、保険適用から外したり、処方量に制限を設けるなどの規制は設けない。

24日の中医協に提出された改定案では

「美容目的などの疾病の治療以外を目的としたものについては、保険給付の対象外である旨を明確化する」

審査支払機関において適切な対応がなされるよう周知する」

という記述にとどめた。

ヒルドイドは皮膚乾燥の治療薬として処方される一方、女性雑誌などで美容アイテムとして紹介されているという現状や、中医協でもレセプトのデータから、処方の対象が女性に偏っている現状などが指摘されていた。

大手企業の健康保険組合で作る「健康保険組合連合会」は2017年9月に公表した報告書で、こうした現状を紹介した上で、ヒルドイドだけを処方する場合は保険適用から外すことを提言。

これを受けて、乳がんや卵巣がんの患者団体などが従来の処方を続けるよう求める要望書を提出。日本皮膚科学会など関連学会も「保湿剤による治療を必要とする患者に大きな不利益を生じかねない」として、処方の制限に反対する要望書を提出していた。

今回、規制を見送ったことについて、厚生労働省医療課の担当者はハフポスト日本版の取材に対し、次のように説明している。

「当然これまでも医療目的以外の処方は許されない対応をしてきたが、改めて通知などで明確にしていく」

「全身性のアトピーや難病の患者、がんの放射線治療を受けた患者など、本当に保湿剤を大量に必要とする人が、処方量の制限などで不自由な思いをするという声や関連学会からの要望に配慮した。一律に処方上限を設けた上で、特定の病気を例外扱いにするという対応でも心配という声があった」

「今後は、改めて通知などで医療上の処方を明確化するともに、不適切な処方が出ていないか、審査支払機関と適正な審査を進めていく」

注目記事