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2018年02月05日 11時19分 JST | 更新 2018年02月27日 11時51分 JST

「男女の友情」あなたはどう思う?フランス人も悩んでいるようだ

セックス抜きで、男と女は成り立つ?

JULIEN PANIÉ / NORD-OUEST FILMS

永遠のテーマだ。

かたや、男女間の友情は本当に存在すると思う人がいれば、かたや、性別が異なる2人の人間のあいだでは、肉体的に引きつけられる事態は避けられないと確信する人がいる。

1月17日にフランスで封切られた恋愛コメディ映画『友だち-友だち』(原題"Ami-Ami")のなかで、ヴィクトール・サン・マキャリー監督は、この大昔からのテーマを改めて投げかけている。

主人公のヴァンサンは、最近離婚したばかりのパリ在住男性。すっかり落ち込んだヴァンサンは、一番の女友だちネフリと、同居することを決める。

制作のきっかけを、マキャリー監督はこう説明する。「25歳のとき、一番の女友だちとシェアハウスしてたんだ。周りは、このやましいところのまったくない友情を、なかなか信じてくれなかったよ」

これこそまさに、物語の出発点なのだ。ヴァンサンとネフリは一緒に暮らし、一緒に食べ、1日中お互いを呼び合い、笑い、泣く......。簡単に言えば、彼らは好き合っているのだ。ただし、友だちとして。

このささやかな幸せに暗雲が訪れるのは、ヴァンサンが、ジュリーという別の女性と出会ってからだ。奇妙なことに、このウィリアム・レブギル演じる主人公は、ジュリーとのにわかに芽生えはじめた恋愛関係を、ネフリに隠すことにする。

ヴァンサンとネフリのあいだで、疑いと嫉妬が少しづつ大きくなり、次第に2人の友情をもろくしていく。

異性間の友情は成り立ちえないと信じる疑り深い人たちに向けて、ハフポスト・フランス版はこれを機に、状況をはっきりさせることに決めた。つまり問いはこうだ。「私たちは一緒に寝たいという感情抜きで、男女の友情を保てるのか?」

「人間は根本的に性的な性質をもっている」

まずは歴史的に見てみよう。心理療法士のカリーヌ・グランヴァル氏によると、性別が異なる2人の人間のあいだの友情という概念が誕生したのは、比較的最近だという。2017年7月30日にハフポストに掲載されたブログ内で、グランヴァル氏はこう語っていた。

「50年前には、男女の友情はまだ存在していませんでした。なぜなら男女は交わる機会がなく、学校も共学ではなく、女性は働いていなかったからです。ですからわりと最近の現象なのです」

それでも少なからぬ人が、いまだに男女の友情に懐疑的な理由の一つは、それが「友情と恋愛の線引き」を危うくしかねないからだと考えられる。

映画でネフリ役を好演した女優のマルゴ・バンシロンは、この難しさを見事に言い当てている。彼女はこれまでに、純粋な友人関係を築けた男友だちが複数いたことを認めつつも、こう話す。

「誰しも人生のうち一度くらい、誰かと親しい関係になって、自分にこう問いかけたことがあるはずよ。『まいったな...心の底では、これは恋だと思ってるんじゃないの?自分は彼/彼女に欲情しているんじゃないの?』ってね」

心理学者のサミュエル・ドック氏は、こうした問いかけはもっともだとする。

「人間は根本的に性的な性質をもっています。だから性や、他者との関係に関するいくつかの疑問が時おり心をよぎるのも、自然なことなのです」

「それも友人関係の延長なので、そう深刻なことではない」

性学者でカップル専門心理療法士のクレール・アルキエ氏は、友情は、決して硬直したものではないという。曖昧さは生じうる。何年も続くような友だち関係では、相手に抱く愛情の念はだんだんと変化してくる。

「私たちはまったくこう考えることができます。友情の歴史のなかでは、それぞれの人生のうちのある瞬間、必ずしも両者が同じタイミングでなくとも、相手に対して性的な、同時に、もしくは、恋愛的な魅力を感じることが起こり得ると。私にとってはそれも友人関係の延長なので、そう深刻なことではないかと思います」

映画では、主人公ヴァンサンと、カミーユ・ラザ演じるジュリーに芽生えるロマンスが、ゆるがないはずったヴァンサンとネフリの友情をもろくしていく。アルキエ氏いわく、危険は、主人公とその女友だちの、あまりにも過度な親密さにあるという。

「ヴァンサンは映画の中で、一方は友情、もう一方は恋愛という2つの関係を、彼が生活をともにする2人の女性それぞれに対して、隠します。私が思うに、ヴァンサンはこう考えているのです。ジュリーはネフリの存在を受け入れてくれないだろうし、逆もまた然りだと。なぜなら彼は、同居人のネフリと、きわめて親密な関係をもっているからです」

関係が急変する恐れがあります。非常につよい友人関係のあいだに第三者が登場してくると、得てして困ったことになります。それこそまさに、あまりにも大きな(男女の友人同士の)親密さにつきまとう危険です。それは2人の人間のあいだのバランスを崩しかねないのです。また独占権の喪失が引き起こす危険もあります。第三の登場人物がこのバランスをかき乱し、今まで口に出されないものの、おそらく無意識のうちに秘めていた感情を呼び起こし、結果として2人の友人関係を完全に変えてしまう、といったことが起こり得るのです。

男性のほうが、「男女の友情」により懐疑的?

男女間での友情についての考えは、性別によっても変わりうる。サミュエル・ドック氏によれば、男性のほうが女性よりも、そうした友情の存在に懐疑的である傾向が高いという。

「私が思うにそれは、とりわけ女性と男性の、性に対する関係の違いからきているのです。両性の性的な構造にかかわる、大きな問題です。おそらく女性のほうが、こと性の問題に関しては、男性よりも穏やかでいられるのです」

今回ハフポスト・フランス版がインタビューした専門家は、それでも全員がきっぱりとこう言う。男性と女性のあいだの友情は、存在すると。だからあなたも、一緒に寝たいという感情抜きに、性別が異なる誰かと友だちになることができるのだ。

そしてこの友人関係のあいだに、性的な感情がうっかり入ってきても、それは決して悲劇ではない。映画『友だち-友だち』でヴァンサンを演じたウィリアム・レブギルはこう言う。「ベッドを共にする2人は、同時に、すばらしい友人同士じゃないかい?」

またクレール・アルキエ氏はこう述べる。「友人同士でも性的な関係は可能です。2人のあいだに隠し立てがない限り。ただし、性的・恋愛的な感情が、とくに一方が他方よりも多くのことを期待した場合、友情に致命的な傷を与えかねないのもまた事実です」

そこがまさに本当の問題なのだ。相手に恋愛感情を持ち始めてしまった友人のうちの一方が、感じうる苦悩だ。そのときから、期待がどんどん膨らみ、一方通行の偏った愛情が、一方を責めさいなむ。彼/彼女は、2人の友人関係を保つために、自らの本当の気持ちを隠しかねないのだ。

ちなみにハフポスト・フランス版のFacebookページからうかがえる、フランス人の反応はどうかというと...

「(男女の友情は)可能だよ、僕が証言するけど。だって当然じゃないか。僕はブサイクだしお金がないんだから」(58😆👍💗)

「男の子と女の子のあいだの友情は存在しない。だって必ずいつも、一方が他方に恋心を抱くんだから...」(36👍😆😡)

「もちろんそれは可能だわ...一番の男友だちと30年友人関係が続いてるもの...それ以外には何も、何もあるわけないでしょ...(呆れ気味)」(17👍💗)

もっとも共感と笑いを誘ったのは、意外にも、ある男性の自嘲的なコメントだった。

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。