銃で撃たれながら亡命した北朝鮮兵は泥酔状態だった? 韓国当局の調査で明らかに

行き当たりばったりの亡命だった…?
画像はイメージ(2014月9月26日、板門店)
画像はイメージ(2014月9月26日、板門店)
Getty Images

韓国と北朝鮮の軍事境界線上にある「板門店(パンムンジョム)」で2017年11月、北朝鮮軍兵士のオ・チョンソン氏が銃撃を受けながら韓国に亡命した事件について、当時オ氏が泥酔状態だったと中央日報などが伝えた。

ヘラルド経済は与党関係者からの情報として、政府合同尋問部(国防部、統一部、国家情報院などで構成)がオ氏への聞き取り調査を実施したと伝えた。

調査によって、オ氏の亡命の経緯が次第に明らかになってきた。今回の亡命劇は、偶発的なものだった可能性が強まっている。

オ氏は亡命当時、記憶をなくすほどの泥酔状態だったようだ。聯合ニュースによると、オ氏は亡命直前の状況について「覚えていない」と繰り返し主張している。

韓国のニュースサイト・イーデイリーによると、オ氏は亡命当日に北朝鮮の工業都市・開城(ケソン)で友人と酒を飲んでいた。焼酎10瓶あまりのうち、半分以上をオ氏が一人で飲んだという。その後、オ氏は酒に酔った状態で「板門店を見物しに行こう」と提案。友人を車に乗せ、開城から板門店で運転。途中、道路や施設物などに2度衝突したという。

北朝鮮の焼酎はアルコール度数が25度前後で、韓国で流通する焼酎に比べて度数が高いとされる。

聯合ニュースによると、オ氏は韓国のドラマ作品をしばしば視聴していた。数年前から、北朝鮮では中国から流入した外国の映画やテレビ番組が密かに出回っており、その影響を受けたオ氏は韓国社会への憧れを抱いていたという。

韓国当局の関係者は聯合ニュースの取材に対し「オ氏は比較的行き当たりばったり的な性格で、特別な計画を立てず亡命してきたと聞いた」と話した。

■「板門店」とは?

POOL New / Reuters

板門店は、韓国と北朝鮮の軍事境界線が通る要衝地。ソウルから北に約50kmにある非武装地帯「共同警備地帯(JSA)」内にある。

1951年10月から朝鮮戦争の休戦会談が開かれた。また、53年7月に休戦協定がこの地で結ばれ、北緯38度線を休戦ラインとすることが決まった。

南北の会談が開かれる会議場や、観光客向けの施設などもある。

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