カリスマ政治家への#MeToo告発が、韓国を激震させている

女性秘書が性的暴行を告発
2017年3月14日、韓国・ソウル。
2017年3月14日、韓国・ソウル。
Toru Hanai / Reuters

韓国に激震が走った。カリスマ的な人気を誇る政治家の安熙正(アン・ヒジョン)氏が、秘書から性的暴行について告発された。

安熙正氏は、韓国中西部・忠清南道の知事だった。若者層を中心に人気があり、人気アイドルグループにちなんで「忠清南道のEXO」と呼ばれていた。2017年の韓国大統領選では、文在寅氏と「共に民主党」の候補者争いを繰り広げた。

ところが3月5日、安熙正氏の秘書キム・ジウンさんがケーブルテレビ局・JTBC「ニュースルーム」に出演し、安熙正氏から性的暴行を受けていたと告発。韓国内を揺るがす事態となった。

キム・ジウンさんは、2017年7月のロシア出張、9月のスイス出張、ソウル出張などで性的暴行を受けたという。

キム・ジウンさんは周囲にSOSを送ったが、誰からも助けてもらえなかったとしている。ある先輩からは「拒め」と助言され、スイス出張の際に断ったが「結局は...」と、キム・ジウンさんは言葉を続けられなくなった。

キム・ジウンさんは、安熙正氏から次のようなメッセージを受け取ったと、番組内で説明した。

「すまない。気にするな。私に不足があった。忘れなさい、全部忘れなさい、ただ美しいスイスとロシアの風景だけを覚えていなさい。全部忘れなさい」

「忘れなくてはいけないんだ」

そう思ってなかったことにしようとしたキム・ジウンさんだったが...。

今回、告発を決心したのは、韓国で「#MeToo」の動きが広がったこの2月にも、性的暴行を受けたからだという。

キム・ジウンさんは2018年2月25日夜、安熙正氏に呼び出され、MeTooについての話をされた。そして、安熙正氏に「あのことが君にとって傷になると分かった。すまない。あの時、大丈夫だったか」と告げられたという。

「今日はそうじゃないんだ」とキム・ジウンさんが安心した矢先、安熙正氏からまた性的暴行をされたのだという。

キム・ジウンさんは「MeTooに言及して、申し訳ないと謝罪した状態で、またでした。私は『知事からは逃れられないんだな...どうすればいいだろう』と、考えるようになりました」と話した。

キム・ジウンさんは、安熙正氏がMeTooに触れたのは、話すなという無言の指示だと思ったという。

番組のなかでキム・ジウンさんは、安熙正氏から、いつもこんなことを言われてきたと明かした

「君の意見を言うな。君の考えを話してはいけない。君は私を映す鏡だ、透明に映していなさい。影のように生きろ」

キム・ジウンさんは、秘書という弱い立場ながら、最大限、拒絶の意思は示したが、それでも性的暴行は止まなかったという。

キム・ジウンさんの告発を受け、韓国では大きな波紋を呼んでいる。「安熙正」という名前が、8時間連続でTwitterトレンドの1位になるほどだった。

え、安熙正ですって?え......ホント......え......(すっごく困惑して言葉が出ない)

安熙正が性的暴行犯だったなんて うおおおおおおおお 超失望

両親が安熙正さんをとっても好きだったけど、昨日一日本当に失望だ...どうしてそんなことできるんだ...はぁ...人ってわからない クソ

安熙正氏はFacebookに投稿した謝罪文で、同意はなかったと認め、「全て、私の過ちです」と記した。

また、「一身上の都合」で辞めるとして、辞表を提出した。

捜査も始まる。警察は、性的暴行容疑で捜査に着手するとともに、告発した秘書の身辺保護にも乗り出すという。

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