学生証の私がキライ。そんな少女たちが、写真を撮りなおして笑顔になった理由

写真が見えないように、財布の奥に隠した記憶はないだろうか。
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自分の学生証の写真を思い出して欲しい。

写真が見えないように、財布の奥に隠した記憶はないだろうか。

友達に見せてって言われた時に、「犯罪者みたいな顔」って自虐に走ったことはないだろうか。

多くの人が、いやな記憶を持つ学生証に映る自分の姿——。

日用品メーカー・ダヴは2018年2月下旬、東京都港区にある広尾学園高等学校の22人の学生証写真を撮りなおし、その様子をPR動画として公開した。

自分のカラダの悩みやサイズを、もっとプラスにとらえよう、美しさって人それぞれだよね、という考え方が今、世界で広まっている。ところが、ダヴの調査によれば、世界14カ国のうち、自分の容姿に自信を持っている10代の割合は、日本が最下位。今回の「学生証撮り直し」動画で、日本の女の子たちの考えを変えたかったのだという。果たしてうまくいくのか?生徒たちの様子を見てみるとーー。

「学生証の写真を撮りなおす」。それを聞いた学生たちはびっくりした顔で、撮影会場に向かう。

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用意された椅子に座ると、カメラの隣に置かれたモニターからいきなり映像が流れ出す。

そこに映ったのは、一緒に学校生活を送るクラスメイトだった。

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写真撮影の前に用意された友達からのコメント。

「髪の毛が黒髪で、綺麗だなって思います」

「シンプルに笑ったら、可愛いんじゃないかな」

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想像もしていないコメントに笑顔を見せる。

その直後に始まった撮影で、彼女たちの表情は自然と緩み、硬い表情の以前の学生証とは別人のようにうつる。

BEFORE
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AFTER
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世界のボディポジティブムーブメントと遅れをとる日本

元の学生証では、表情が暗かった生徒たちが、他の同級生のコメントを聞いた後に写真を撮り直すことで、豊かな表情になることがわかる。自分でも思っていなかった「良いところ」を同級生から教えてもらい、思わず笑みがこぼれたのだろう。

ダヴの広報担当者は「クラスメイトからのコメントを聞いて、自分らしさに気がついた」と話す。

さらに次のように語った。

メディアにおけるモデル画像の大半は、巧みなメイクやライティングはもちろんのこと、デジタル修正も施されています。そんな現実離れした「完璧な」容姿をみた少女たちが、自分自身と比較して自信を喪失してしまうことも少なくありません。

女性が自分に対する自信のなさから日々の生活を楽しめないのであれば、それは社会にとって大きな損失となります。

歪められた美しさに惑わされず、すべての女性がありのままの自分を肯定的に受け入れられるきっかけを作ることで、自身の可能性を最大限に発揮できるようになることを応援しています。

ヨーロッパやアメリカを中心に世界では、「ボディ・ポジティブ」ムーブメントが起きている。これは自分の身体のサイズや肌の悩みを、もっと肯定的に捉えようという考え方だ。

痩せ過ぎモデルの活用を禁止する法律がフランスで施行されたり、少し太めの「プラスサイズ」モデルが雑誌の表紙を飾るようになってきたりした。「どんな見た目でもそれぞれの美しさがあるんだよ」というメッセージが発信されている。

2017年に行った「ダヴによる少女たちの美と自己肯定感に関する世界調査レポ―ト」によれば、世界14カ国の10代の少女たちのうちで、自分の容姿に自信を持っている人は日本がわずか7%。世界でもっとも低い割合だった。他の国はアメリカが47%、イギリスが39%。2番目に低い国は中国で、それでも日本より28ポイント高かった。

さらに、日本の少女の場合、自分の容姿に自信が持てない人の10人に5人は、やりたいことがあっても、容姿への自信の無さが原因で諦めたことがあると回答している。

「新しい自分らしさ」を発見する

学生証に映る以前の自分と、ちょっと自信を得た自分。どちらも自分だ。

しかし、これから生きていく上で、どっちの自分がいいだろう。

自分は、自分自身で何度も撮り直せる。学生証のように。

そして、もっと好きな自分を選び続けることができる。

学生証という1枚で、自信がないとされる日本の少女たちの表情も変わる。"ボディポジティブ"という横文字の言葉を聞くと、むずかしい気がするが、身近なテーマを元に、美しさの新しい面に気づかされた動画だった。

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