佐川宣寿氏、鼻で笑う場面も… 共産・小池氏の質問に対して〈証人喚問〉

余裕の笑みか、それとも…
参院予算委員会の証人喚問で答弁する佐川宣寿前国税庁長官=27日午前、国会内 撮影日:2018年03月27日
参院予算委員会の証人喚問で答弁する佐川宣寿前国税庁長官=27日午前、国会内 撮影日:2018年03月27日
時事通信社

学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざん問題で、佐川宣寿・前国税庁長官への証人喚問が3月27日午前、参院予算委員会で始まった。

共産党の小池晃・書記局長は、2017年の2月〜3月にかけて佐川氏がおこなった国会答弁の根拠を追及。「改ざん前の決裁文書に基づく答弁か」と確認した。

これに対し佐川氏は「書き換えがいつあったのか、どう認識していたのかについては刑事訴追のおそれがあるので答弁を控える」と証言しなかった。

途中、小池氏の発言を受けて、佐川氏が鼻で笑う場面があった。一方で、小池氏から厳しい質問が続き、淡々と答えてきた佐川氏が補佐人(弁護士)と相談する場面もあった。

以下、小池氏と佐川氏のやりとり。

■小池氏、佐川氏に国会答弁の根拠を尋問するが...

小池氏:証人にお伺いします。あなたの昨年2月から3月にかけての答弁。あなたが「現場における個別案件」と述べた意味での「現場」ですね。すなわち、近畿財務局と理財局の記録に基づいて答弁を行われたんですね。

佐川氏:私の答弁の資料は、理財局と近畿財務局の間で連絡を行なってきたものと私は理解しておりました。

小池氏:ということは、それは改ざん前の文書に基づくということですね。

佐川:文書の書き換えがいつあったのか、私がそれをどう認識してるのかということについては刑事訴追の恐れがあるので、答弁を差し控えさせていただきたい。

小池氏:それはおかしいですよ。改ざんについての質問をしているのではない。答弁の根拠は、その当時は改ざん前の文章でしょ。それしかないんでしょ。それをもとにしたんじゃないですか。なんでこんなことが認められないんですか。

佐川氏:今のご質問ですと、要するに決裁文書がいつ書き換えられたのかという問題と結びつく話だと私は思うんです。そういう意味では、私自身が捜査の対象になってるということでございますので、その点につきましては刑事訴追の恐れがありますので答弁を差し控えさせていただきたい。

小池氏:私が聞いてるのは、昨年2月から3月にかけての質問(答弁)の根拠は一体なんだったのかということを聞いているのであって、(昨年)4月4日に(決裁文書を)改ざんしたんだってことは、財務省は認めるわけなんですよ。理財局の文書は。だから2月から3月はまだ改ざんされてないんですよ。

太田局長(太田充・理財局長)、その当時の決裁文書を前提に答弁書を作るのは基本だと答弁しているんですね。ということは、あなたの昨年2月から3月にかけての答弁は、まさにその当時の決裁文書を前提に行ったんですねと。私は当たり前のこと聞いているですよ。なんかそれ以外にあるんですか。

佐川氏:太田理財局長の答弁、財務省の調査に基づいてお答えしてるんだと思いますが、それは本当に私自身が、今のご質問ですと、その書き変えられた決裁文書そのものが、いつ私が認識して、書き換えがおこなわれたのかとか、そういうことに直結する問題ですので、そういう意味では私が捜査の対象でございますので答弁を控えさせていただきたい。

■小池氏「決裁文書と正反対のことを答えた」と追及

小池氏:罪に問われる、要するに自分か訴追おそれがあるから答えないんじゃなくて、都合の悪いことは答えないないっていうだけの話じゃないですか。こんなことをやっていたら、逆に偽証罪で、本人の身分に関わらない証言拒否として、告発しなくちゃいけなくなる。これを拒否するなら。

具体的に聞きますが、私は昨年3月1日〜2日、2日がかりでこの場で証人に質問しました。鴻池議員の事務所の資料を基に、平成27年1月9日に、「財務局が森友学園を訪問したという事実はあるか」と、都合6回聞いている。6回聞いて、証人はこれを否定したんですよ。

しかし、改ざん前の文章には「平成27年1月9日、近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付額を伝える」とはっきり書いてある。丁寧さを欠いた(答弁)どころか、決裁文書に書いてあることと正反対のことをこの場で答えた。何でそんなことをされたんですか。

佐川氏:補佐人に助言を求めます。

(佐川氏、補佐人と相談)

佐川氏:大変失礼をいたしました。やはりその件は、私自身がその書き換えの経緯、いつ書き換えたとか、そういうことの時期に関わる話でございますので、そこはお答えを差し控えさせていただきます。

小池氏:委員長、これでは証人喚問の意味がありません。これはね拒否するんだったら、これ以上聞いたって意味ないじゃないですか。私は改ざんについて聞いてるんじゃないんですよ。実際に国会の答弁をどういう根拠でやったか聞いてるんです。これで進めるわけにはいきません。

金子委員長:速記を止めてください。

(与野党の理事が協議)

佐川氏:補佐人に助言を求めます。

金子委員長:速記を止めてください。

(佐川氏、補佐人と相談)

佐川氏:失礼いたしました。今の委員のご質問は、やはりその(昨年)1月9日の今の委員のご質問があった、その、訪問したとかしないとか、お話でございましたけれども、まさに委員は決裁文書の書き換え前の文書に書いてある話と違うじゃないかという話でございまして。

私自身はその決裁文書に書いてある事実を、決裁前ですね、書き換え前の決裁文書に書いてある事実を、いつ知ったかということそのものは、やはり私自身がその決裁文書にどういうふうに関わったか、いつ認識したのか、経緯はどうかという、まさにそういう問題そのものでございますので。

従いまして、私はいま告発をされている身でございまして、刑事訴追のおそれがあるので答弁を差し控えさせていただきます。

小池氏:私は改ざんが誰の指示で行われたのか、何のために行われたのかという質問をしているのではありません。改ざん前の決裁文書をもとに答弁をしたのでしょと事実を確認している。

私が質問をした時点では、改ざん前の文書しかないわけじゃないですか。それをもとに答弁したんでしょと。なんで当たり前のことが答えられないんですか。

佐川氏:お答えします。今の話は、財務省の(太田)理財局長がどういう答弁をしているというご指摘があって、その上でのご質問だろうと思いますが、私自身は理財局の調査について存知ませんし、私自身が(昨年)1月9日についてお答えするのは、決裁前の文書をいつみたかということにそのまま結びつく話でありますので、答弁を控えさせていただいております。

■首相官邸との答弁の調整はあったのか

小池氏:(昨年)2月〜3月にかけて、あなたは何を根拠に答弁をしたんですか。

佐川氏:先ほどから申しますように、質問通告があり、各原課(部署)が答弁書をつくり、答弁書をつくっていたというのが実態でございます。

小池氏:各原課の答弁書は決裁文書を基本に作られているでしょ。

佐川氏:その答弁が本当に決裁文書をもってつくったのか、どういう資料をもとにつくったのか、それは各原課がどういうファクトを確認しながら作ったのかというのは、私自身は答弁書を読んだ後、答弁を申し上げているのでございます。

小池氏:こんな無責任な話がありますか。いったい何を根拠につくったのかわかりませんと。そこでも部下に責任を押し付けるという議論になっちゃいますよ。

さらに聞きますが、私は予算委員会でこの問題を質問した時は、総理に対する質問として通告をしております。ところが、局長が出てきてね、代わりの答弁をされることが度々あったわけです。

結局、この間の予算委員会での質問について私は全部、内閣官房にも質問通告をしております。当然、あなたの答弁内容は首相官邸とも調整してるということになるんじゃないですか。

佐川氏:先ほども申しましたが、理財局が書かなくてはいけないと答弁は理財局で書いて、それを大臣なり総理にお渡しするということでございますので、調整とかっていうことじゃなくて、そういう個別の案件については理財局が総理ように少し簡単にしたものをお届けするというのは実態だったと思います。

■佐川氏、鼻で笑う

小池氏:実務的な中身じゃないんですよ。極めて政治的な中身の質問なんですよ。これをね、官邸と調整しないで答弁書を作るなんてありえない話じゃないですか。総理と食い違ったらどうするんですか。ぜんぶ理財局でやっちゃうわけですか。そんな無責任な説明が成り立つわけないじゃないですか。

佐川氏:あのー、何月何日に、現場で、職員と業者とか、相手方と会ったとか会わないとか極めて実務的な話でございまして。そういうものを総理官邸と調整するっていうことは、通常は考えられないわけでございます。

小池氏:実務的な問題以外にもたくさん質問してるんです。特に昭恵夫人との関わりですね。そして先ほど証人は「答弁にあたって経過は勉強した。一連の書類を読み込んだ。絶えず携行していた」と。ということは決裁文書の中身をよく把握していたはず。先ほど、そうおっしゃったんだから。「一生懸命勉強した」と。

そういう中で安倍昭恵さんの名前が、当時の決裁文書に出てきたわけですね。いつ知ったかは言えないっていうならいいですよ。見た時、いつですか?

(委員会室から笑い声)

(佐川氏、鼻で笑う。笑みを浮かべるも、左手で鼻をこすり我慢している様子)

Abema TV

※(動画)佐川氏が笑みを浮かべる場面。

小池氏:その時に...いや、いや、決裁文書を見た時に安倍昭恵さんの名前が出てると。これは特別なことだという感じを持ちませんでしたか。

佐川氏:質問の趣旨は、決裁文をいつ見たかとおっしゃってるのであって、先ほどから申し上げてますように、そういう決裁前の文書、書き換え前の文章、書き換えた後の文章を、どの時点で見たかということになりますので、その点は先ほどのご質問と一緒だと理解をしてございます。

小池氏:いつ見たかって聞いたんじゃなくて。安倍昭恵さんの名前が何度も出てくると。それをいつかの時点ではご覧になったわけでしょ。いつ見たかは言えないっていうんですけど、どこかで見たわけでしょ。その時に、証人はどういう印象を、どう受け止めたんですか。お答えください。

佐川氏:「いつ見たとは聞いてはいないが、いつか見たんでしょ」というのは、やっぱり「いつ見たのか」というご質問でございますので、それはもう見たのか見ないのかというご質問でございますから、私自身が書き換えられた文書をいつ認識したのかという問題そのものでございますので、その点については先ほどのご質問と一緒でございます。

(委員会室、ざわつく)

金子委員長:静かに、静粛に願います。時間止めてください。

(与野党の理事が協議)

佐川氏:大変恐縮でございますが、まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題ですので答弁を差し控えさせていただきたい。

小池氏:これでは証人喚問の意味は全くありません。訴追の恐れがあるって事以外のことだって、全部答えないんですよ。私はこの証人喚問で終わりするわけには絶対行かないと思います。

佐川さんだけじゃなくて安倍昭恵さんを含めて野党が要求してる証人喚問をすべてやる以外に解決の道はないと申し上げて尋問を終わります。

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