盲導犬の目から見えた、人々の無関心。「もっと思いやりがほしい」

「僕らはその場にただ放置されて、まるで侮辱されたような気分になる」

視覚障害を持ったイギリス在住の男性、アミット・パテルさん(38)。彼がパートナーの盲導犬「キカ」の背中にカメラをつけて撮影したTwitterの動画に、世界中から反響が寄せられている。

その動画が、これだ。

動画は、いつもアミットさんが利用しているロンドン・ウォータールー駅の日常を切り取ったもの。動画は約1分と短いが、アミットさんとキカに対する人々の対応が、いかに冷たいかを知るには十分だ。

人々はアミットさんを誘導するキカのために道を開けるどころか、まるで存在していないかのように無視する。またエスカレーターに乗ろうとする場面では、道を譲ろうとする気配もない。

6年前に眼球の角膜に炎症が起き、視力を失ったアミットさんがこの動画を撮ったのには、こんなきっかけがあった。

満員電車に乗った、雨の日。アミットさんが「優先席に座らせてほしい」と周りにいた乗客にお願いしたところ、誰1人として彼に席を譲る者がいなかったのだ。

Dad had to stand with his back against the doors whilst trying not to slip & I was sliding all over the place as the floor was wet. Have some humanity people! @GuidedogsLondon@GuidedogsLondon@Se_Railway@transportforallpic.twitter.com/aXZ8wQbFi2

— Kika 🇬🇧 (@Kika_GuideDog) 2018年3月27日

電車の車内で起きたことをTwitterで振り返ったアミットさんは、続けてこのように語る。

「でも、こんなの日常茶飯事なんです。雨で車内は滑りやすくなっていたので、キカは転びそうになっていました。相当ストレスだったろうに。キカはいつも僕の面倒を見てくれているのに、僕は彼女に対して申し訳なく思ってしまうんです。」

「人は時に、あまりに自己中心的です。席が空いているか尋ねると、見えないフリや聞こえないフリをしたりします。キカの安全を守ることも僕の仕事なのに、その場にただ放置されます。まるで侮辱されたような気分になって、涙を流す日もあります。(見えないことで)僕の人生はもうすでに困難なものなのに...

現在この動画には、世界中から大きな反響が寄せられている。

中には、「共有してくれてありがとう」「この動画は思いやりや尊厳という教訓を教えてくれる」「ちょっとしたマナーや思いやりで、世界は良くなるのにね」といった声が数多く集まっている。

でもキカは、思いやりに欠いた人々だけを見ているわけではない。時には電車で、「座る?」と優しく席を譲ってくれる人もいる。

私たちのちょっとした「無関心」や「思いやり」を、盲導犬はすベて見ているのだ。

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