アイドルがライブ中にカブトムシを食べ物議 本人が語った騒動の「真相」

売名行為なのか?
かみつき!MAD-DOGの4人
かみつき!MAD-DOGの4人
かみつき!MAD-DOG

アイドルグループの女性がライブ中にカブトムシを「試食」してTwitterで話題になった。試食が原因でグループは事務所との契約を解除されたとの噂も広がる中、ハフポスト日本版は本人に真相を聞いた。

「今回の企画はなんと、『利き虫』です」。3月11日、東京・渋谷のライブ会場で、4人組アイドルグループ「かみつき!MAD-DOG」の1人、雨さんがほかのメンバーに目隠しをされながら虫を食べた。

「土の味がする...。カブトムシ!」

雨さんは見事、虫の正体を言い当てた。食べたのは、外国産のカブトムシの成虫だった。

かみつき!MAD-DOGにとってはデビューライブ。雨さんのパフォーマンスはすぐさまソーシャルメディアで話題になった。「ライブでカブトムシを食べたアイドルが事務所を解雇された」。そう書き立てるメディアもあった。

雨さんはハフポスト日本版の取材に応じ、真相を語った。

「確かに事務所との契約は解除しましたが、それはカブトムシを食べたことが理由ではありません。たまたま時期が重なっただけです」

かみつき!MAD-DOG
雨さん

だが、アイドルによる異例のパフォーマンスに対し、ネット上では批判も起きた。「ネットでエゴサーチ(自分の名前やアカウント名などを検索すること)したら、『カブトムシを食べるなんて不快でしかない』とか、『売名行為だ』とかいう批判的なコメントがあって、正直びっくりしました」と雨さんは話す。

雨さんはそもそも、普段から昆虫を食べているという。多摩川でサバイバル生活を体験しているYouTuber、カメ五郎さんに触発され、2017年9月から山菜や昆虫を友人と採っては、野外で調理して食べるようになった。

「バッタやコオロギ、ワームなどを食べたことがあります。トノサマバッタは美味しかったです。昆虫は栄養価も高いし、国連も世界の食料危機解決のために昆虫食を薦めています」と雨さんは言う。

その上で、雨さんはこう付け加えた。

「かみつき!MAD-DOGというグループ名は、今のアイドル界にかみついていくという意気込みを込めて付けました。アイドル業界は今、『戦国時代』。『キャピキャピ』だけのアイドルじゃあ生き残れないって思っています」

カブトムシを食べることについて、専門家はどうみるのか。昆虫料理研究家の内山昭一氏=東京都=はこう話す。

内山氏=東京都日野市
内山氏=東京都日野市
Kazuhiro Sekine

「カブトムシに限らず、昆虫は有毒など一部を除き、加熱など衛生処理をすれば食べられます。一般的にタンパク質の含有率も高く、食糧危機解決の観点から、国連食糧農業機関も2013年に昆虫食を推奨する報告書を出しました」

「ただし、カブトムシは幼虫の段階で腐葉土などを食べて育っているため、幼虫はもちろん、成虫になっても土くさいため、あんまり食欲はそそられません。私ならあえて食べようとは思いません」

「雨さんが食べたのはおそらく、国内でも販売されているタイ産のヒメカブトムシとみられます。東南アジアの一部地域ではカブトムシを食べる習慣があり、日本のよりまだ土くさくない種類です」

ヒメカブトムシのオス
ヒメカブトムシのオス
Mattes/public domain

もしカブトムシを食べるとしたら、どんな調理方法がありうるのか。内山氏は言う。

「成虫であればボイルし、殻をむいて胸肉を食べるのがいいでしょう。フライにするのもいいかもしれません。殻はかなり硬いのでおすすめしません。味付けは塩コショウか、砂糖醤油がいいでしょう」

昆虫を食べるとしたら、おいしいものは何か。内山氏によると...

「カブトムシのように甲虫の中では、カミキリムシですね。この幼虫は生木を食べて育つので、カブトムシのように土のにおいはまったくありません。殻をむいて食べますが、肉はやわらかく、味はあっさりしています」

「でも、幼虫で食べる方が甘みがあってもっとおいしいです。好みにもよりますが、我々の間で最もおいしい昆虫と言われているのが、このカミキリムシの幼虫ですね」

「カブトムシと同じく子どもたちに人気のあるクワガタも、幼虫は朽木の中にいるので土くさくありません。カブトムシよりはおいしく食べられると思います」

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