「あなたを産んで、幸せでした」 我が子を養子に出した生母が明かす、子どもへの思い。

子ども、生みの親、育ての親がつながる家族のかたち
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私は3年前に、第一子を養子にだしました。子どもの父親の事情があって、子どもを手放すことを決めました」

さまざまな事情で生みの親が育てられない子どもと、子どもを育てられる大人たちをつなぐ「特別養子縁組」。

子どもたちは戸籍上も新しい家族の一員として迎えられ、温かく安定した家庭環境で成長できます。

しかし特別養子縁組を語るとき、子どもを産んだ親に光が当てられることは今まであまりありませんでした。

冒頭の女性Aさんは、現在開催中の里親・特別養子縁組家庭の写真展「フォスター」のキックオフイベントで登壇し、子どもを養子縁組に出した時の気持ちを語りました。

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■「とても重い決断でした」

Aさんは20代後半で妊娠しましたが、産んでも育てるのが難しい状況に置かれていました。悩みに悩んだ末、子どもを育てたいと願う夫婦に我が子を託す決断をしたそうです。

生む前から養子に出すと決めていましたが、親子の縁が切れるのは私にはとても重い決断で、ようやく決断できたのは、妊娠8カ月の終わりでした。

さんざん悩んで割り切っていた気持ちも、産んでみると自分の子どもは想像以上に可愛くて、一日、一日と近づくお別れの日に一人で泣きました。

お別れの日に一枚だけ娘と一緒に写真を撮ったんですけれど、笑って写真にうつったのは最後の強がりでした」

Aさんは、娘を養親に託した後、同じような立場の女性たちに寄り添いたいという思いから、養子縁組支援団体でボランティアを始めました。今、仕事をしながら我が子を養子に託す女性たちの話を聞いたり、生活の手助けをしたりしています。

■ 娘を一番に思う母親の気持ち

Aさんにとって、養子縁組は娘さんとの永遠に別れではありませんでした。「セミオープンアダプション(生みの親と育ての親が縁組み後も交流を続ける)で縁組みしたAさんは、少なくとも年に1回は、子どもに会う機会があります。

しかし娘と会う時は、育ての親を尊重して子供と距離を置きながら接するようにしているそうです。娘さんの話をするAさんのひとつひとつの言葉から伝わってくるのは、自分より娘を一番に思う母親の気持ちでした。

養親さんから、成長を伝えるアルバムやお手紙が届くと、「いつか娘が私を生みの母と認めてくれたらいいな」と思うそうです。そしていつか「あなたを産んで、幸せでした」と伝えたいと願っています。

写真展を企画した静岡大学教授の白井千晶さんは「産んだ人をなかったことにしないのは、子どもにとっても、生んだ人にとっても大事なことだと思う」と言います。

妊娠しても、育てられない状況にいる人もいる一方で、子どもを育てたいと願う人たちもいます。彼らの間に橋をかける「特別養子縁組」を通して、子ども、育ての親、生んだ親がつながる家族のかたちがつくられています。

詳しくは 写真展フォスターでご覧下さい http://foster-photo.jp/

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