スタバ客席で「友達を待っていた」黒人男性2人が逮捕 差別だと物議

警察は「問題ない」 一方スタバは「謝罪します」

「差別だ」「なぜ逮捕するんだ?」と周囲から抗議の声が上がる中、スターバックスにいた2人の黒人男性が、逮捕・連行されていく動画が、アメリカで物議を醸している。警察が「警官の行動には何の問題もなかった」とする一方、スターバックスは逮捕された2人に謝罪した。

全米に大きな衝撃を与えたのは、作家のメリッサ・デピーノさんが4月13日にTwitterに投稿した、この動画だった。

「スターバックス。警官が呼ばれたのは、この男性たちがまだ注文をしていなかったから。でも、2人は友達が来るのを待っていただけ。実際、その友達は、彼らが手錠をかけられ、連れ去られそうになったときにやってきた。そこにいた白人はみんな不思議がっていた。私たちが同じ事をしても、こんなことは絶対に起きないから」

デピーノさんは、事件が起きたのは午後4時30分頃で、動画を撮影したのは友達だと、地元メディア「Billy Penn」に語った。

ビデオに登場するベストを着た男性は、BuzzFeedによると、アンドリュー・ヤッフェさん。ヤッフェさんはビデオの中で、警官にこう尋ねている。「彼らは、なんで通報されたんだ?」「黒人2人がここに座って、俺を待ってたからか?」

ビデオには、次のような声も記録されている。

「彼らは何もしてなかったよ。私は全部見てたけど」

地元メディア「Philly Voice」がYouTubeにアップしたビデオは、もう少し前後の様子が収められている。そこには、警官が逮捕理由は「不法侵入」だと告げ、それを聞いたヤッフェさんが「(逮捕は)差別だ」と抗議している姿が映っている。

最初のビデオを投稿したデピーノさんは、2人の「とても近くに座っていた」と話したうえで、カウンターの奥にいた女性が警察に通報したようだと、地元メディア「Philly Magazine」に語った。

「(逮捕された)2人は、自分たちが何か悪いことをしたのか、不思議がっていました」「そうしたら、次々と警官の数が増えていったのです」

デピーノさんによると、居合わせた客たちも、店員や警官に「なんで逮捕されるの?」と質問していたという。「そうしたら、ひどいことに手錠をかけて、連行していったんです。ホントにひどい」「2人は声を荒げたりもしませんでした。攻撃的な態度なんて、一切していません」

フィラデルフィア検察のスポークスマン、ベン・ワックスマン氏は、2人が翌日の午前1時に釈放されたとハフポストに明かした。そして、「犯罪の証拠がなかった」ので、2人の刑事責任は問わないと話した。

一方、フィラデルフィア警察のコミッショナー、リチャード・ロス氏はフェイスブック・ライブで「警官には何の落ち度もない」と語った。ハフポストは警察にコメントを求めているが、まだ回答はない。

ロス氏によると、駆けつけた警察官たちに、スターバックスの店員は次のように説明した。逮捕された2人は、トイレを使わせてくれと店員に尋ねた。店員はトイレはお金を払った客向けなので、出ていってくれと告げたが、2人はそれに従わなかった。逮捕された男性は店員に、それなら警察を呼べと言った。これが店員側の主張だという。

警官たちは丁寧に頼んだのに、2人は従わなかったし、態度が悪かったとロス氏は主張し、「警察はすべきことをしただけだ」と述べた。ロス氏は「私もアフリカ系アメリカ人の男性として、無意識の偏見のことはよくわかっている」「だから警察官も訓練を受けているのだ」と話した。

一方、スターバックスは「フィラデルフィアの店舗で起きたことについて、お2人、そして、お客さま方に謝罪します」と、ツイートした。

画像には「このことを真剣に捉えております。店舗で、こうした事態が発生したときに、どう行動すべきかという問題については、しっかりと取り組みます。店のポリシーを見直すとともに、地域や警察と連携し、このような事が二度と起きないように取り組みます」などと書かれている。

その後、同社CEOのケビン・ジョンソン氏が「店舗マネージャーは、2人が逮捕されるとは考えていませんでした。こんなに大事にすべきことでは、決してありませんでした」とするコメントを発表した。ジョンソン氏は「徹底的な調査を始めた」と表明。また、今後、フィラデルフィア地域の代表者や警察と面会し、「できるなら、逮捕されたお2人ともお会いしたい」としている。

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