財務省の福田事務次官めぐるセクハラ報道、「声紋鑑定含めた徹底調査を」と野党議員ら要求

女性記者らに協力呼びかける調査のあり方を批判
会見する野党議員ら=4月17日、東京・永田町
会見する野党議員ら=4月17日、東京・永田町
Kazuhiro Sekine

財務省事務次官のセクハラ疑惑に対する調査をめぐり、報道各社の女性記者に協力を呼びかけていることについて、野党議員が4月17日、反対の声を上げた。

議員らは参議院議員会館で記者会見し、「記者たちに不利益が生じて困難」と指摘した上で、声紋鑑定などを含む別の調査をするよう財務省に求めていく方針を明らかにした。

セクハラ疑惑をめぐっては、財務省の福田淳一・事務次官が飲食店で女性記者に対し、セクハラ発言をしたと雑誌「週刊新潮」が報道。インターネット版「デイリー新潮」では、「抱きしめていい?」「胸触っていい?」などと話す音声データも公開した。新潮は声の主が福田氏だと指摘している。

福田氏は財務省を通じ、「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」などと報道内容を全面否定するコメントを発表。一方、財務省は「福田事務次官と週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたい」「協力いただける方の不利益が生じないよう、責任を持って対応させていただく」なとどする方針を示した。

こうした調査手法に対し、会見に臨んだ議員12人からは激しい怒りの声が上がった。

徳永エリ参院議員(民進党)は「協力いただける方に不利益が生じないよう対応させていただくって書いてありますが、これ担保されると思いますか?不利益生じないと言えますか?皆さんが自由に取材できる環境に対し、どこからか、何らかの圧力がかかるのではないかと大変懸念している」と述べた。

かつてTBSの報道局記者だった立憲民主党の杉尾秀哉・参院議員は「財務省が出した調査協力のお願いは、メディア関係者にとっても極めて深刻な問題。メディアには情報源秘匿の原則がある。それをわかっていながら『名乗り出よ』というのは、メディア人に対する圧力以外の何物でもない。言論、表現の自由に対する重大な挑戦だ」と怒りをぶちまけた。

社民党の福島瑞穂・参院議員は「加害者とされた福田事務次官の調査だけを素早くやり、財務省名で福田事務次官の『全面的に(セクハラは)ない』という言い分を出していることがそもそも間違っている。その上で、被害を訴える女性に対し、『言って下さい』というのは非常に困難。事務次官と比較的若い女性という、凄まじい力関係の中では言えない。本当にひどい話だ」と述べた。

福島氏は財務省が示した調査を撤回するよう指摘し、「福田氏のことを中途半端に垂れ流すのではなくて、彼の声紋鑑定も含めた徹底的なヒアリングをまずやり、周辺や周りで同じようなことを聞いている人はいないかと聞くべきだ」と求めた。

一方で、議員らからは報道側に対する要望も相次いだ。希望の党の柚木道義・衆院議員は「記者の皆さんによるMeToo運動が必要な状況になっている。これをやらないと、本当に報道の自由も国民の知る権利も圧力を受ける、記者の皆さんがセクハラ、パワハラを受けても泣き寝入りをすると、この国の民主主義の根幹が崩壊する」と話した。

民進党の神本美恵子・参院議員は記者らに対し、「皆さん方にちょっとお聞きしたいんですけども、事務次官ら最高幹部を取材するのは、各社ともよく若い女性を充てると聞いたんです。それは本当でしょうか」と逆に質問。記者から反応がないと、杉尾氏が「そういう傾向はありますよ」と答えた。

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