障害年金の「打ち切り予告」1010人に送付。年金機構が「障害の程度が軽い」として

1年の猶予後、2018年の医師の診断書をもとに支給を打ち切るかどうかを正式に決めるという。
日本年金機構の本部=東京都杉並区
日本年金機構の本部=東京都杉並区
時事通信

日本年金機構が障害基礎年金の受給者1010人に、「障害の程度が軽い」として、支給を打ち切る可能性があるという予告を文書で送っていたことが5月29日、分かった。1年の猶予期間を経た上で2018年の医師の診断書をもとに、支給を打ち切るかどうかを正式に決めるという。打ち切りの予告を機構が送ったのは今回が初めて。

機構によると、この1010人は2017年中に更新時期を迎え、障害や疾病に関する医師の診断書を機構の障害年金センターに提出していた。同年12月~2018年1月、機構が「審査の結果、障害基礎年金を受給できる障害の程度にあると判断できなかった」という内容の文書を通知したという。

ただ、すぐに支給を打ちきりにはせず、経過措置の期間を設けた上で2018年度に改めて医師の診断書を提出してもらい、診断書の内容が前年度と同様なら「支給停止になることもある」(機構広報)という。時事ドットコムによると、加藤勝信厚生労働相は5月29日の記者会見で、受給者から不安の声が上がっていることなどを受け、「直ちに支給を打ち切るのではなく、1年後に改めて審査することにしている」と強調したという。

機構によると、障害年金は都道府県ごとにある年金事務センターで医師が支給の認定を審査していたが2017年4月から、障害年金センター(東京都)に事務を一元化した。支給の不認定が増えたのは、こうした審査態勢の変更に伴い、これまで都道府県ごとにバラバラだった審査基準も一元化されたことなどが影響しているとみられる。

障害年金は、病気やけがなどで障害を持った人の生活を支える目的で支給されている。身体の機能の障害だけでなく、がんや糖尿病などの病気が理由で長期の療養が必要になり、仕事を続けられなかったり、生活の制限が生じる状態になったときも支給される。年間の支給額は1級が約97万円、2級が約78万円で、子育て世帯には加算もある。

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