シダックスがカラオケ事業から撤退する。「カラオケ館」に子会社を売却、一体なぜ?

今後は給食やトータルアウトソーシングに力を入れるという
シダックスのカラオケ店舗
シダックスのカラオケ店舗
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レストランとカラオケを融合させ高級感を打ち出してきた「シダックス」が5月30日、カラオケボックスの運営事業から撤退すると発表した。

「カラオケ館」を運営するB&Vに、カラオケ事業の運営子会社である「シダックス・コミュニティー(SC)」の持ち株81%を売却。約97億円の債権も譲渡する。

今後も「シダックス」の看板は継続予定

ただ、シダックス経営企画本部によると、これからも流通関係などのカラオケ事業のバックヤード業務は継続する方針という。

担当者は「カラオケ店舗の看板名は変わらない予定なので、B&V社とともにシダックスブランドの改善に努めていきたい」と話した。

売却は6月7日の予定で、売却額は現在調整中という。また、シダックスの株主優待券もこれまで通り使うことができる。

今後は、給食事業や、「トータルアウトソーシング」事業に力を入れていく予定だ。

カラオケ事業、32億円のマイナス

シダックスは従来、給食やレストランカラオケなどを展開してきたが、このところカラオケ事業に関しては収益が悪化。運営子会社のSCは、2018年3月期末には32億6000万円の債務超過に陥っていた。

娯楽が分散化し、一人カラオケなど消費者のニーズが変化するなか、不採算店舗の大量閉鎖や「ゆったりランチ」として昼利用客の拡大を目指すなど改善努力を進めてきたが、自社のみでのカラオケ事業の回復は難しいと判断。

「カラオケ事業の業績が、グループに与えるマイナスの影響が大きかった事実は否めない」としている。

シダックスは1959年創業。1960年から給食事業を始め、カラオケ事業には1993年に参入した。

最盛期には全国約300店舗を展開していたが、事業の悪化に伴い、2016年には不採算だった約80店舗を一気に閉鎖。近年は、従来の大型郊外店ではなく、駅前などの繁華街への出店をするなど対策を続けてきたが、大きく改善することはなかった。

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