ニューヨークの自宅で亡くなった人気ファッションデザイナーのケイト・スペードさんの夫、アンディ・スペードさんが6月6日、NewYorkTimesに手記を寄せ、ケイトさんが長年うつで苦しんでいたことを明かした。
「ケイトは世界でいちばん、美しい女性でした」という言葉から始まる文章には、彼女の死を深く悼み、2人の娘を案じるアンディさんの気持ちが綴られた。
アンディさんによれば、過去5年間、ケイトさんは長年うつ病や不安症に悩み、定期的に医師の診察と投薬を受けていた。薬物やアルコール依存症もなく、仕事上も何も問題はなかったという。
2人は直近の10カ月ほど、近所の別々の家に暮らし、毎日連絡を取り合っていた。娘を最優先に考え、離婚などはせず、35年のパートナーシップの中の休憩という位置付けだったという。
アンディさんは最後に「今一番心配なのは、娘のビーのことだ」と記し、彼女のプライバシーへの配慮を呼びかけた。そして「ケイトはとてもビーのことを愛していたんです」という言葉で手記をしめくくった。
ケイトさんの2歳年上の姉は「THE KANSAS CITY STAR」に対し、家族はケイトさんの治療をするために入院などを薦めてきたと語った。しかし彼女は、自分の病がブランドイメージにもたらす悪影響を気にして拒否し続けきたという。
「彼女はとにかく(うつ病のことを)人々が知ったら何と言うだろう、と心配していたんです」
ケイトさんの歩んだ道。
1962年にミズーリ州で生まれたケイトさん。大学卒業後にニューヨークに移り、ファッション誌「マドモワゼル」の編集長を務めた後、1993年に、のちに夫となるアンディ・スペードさんとかばんブランド「ケイト・スペード」を立ち上げた。
働く女性や若い女性に中心に強く支持され、アメリカ国内に百数十店を展開。日本を含む世界各国で人気のあるブランドになった。
「ケイト・スペード」は2017年にアメリカの高級ブランド「コーチ」(現タペストリー)に24億ドル(約2600億円)で買収され、同社の傘下に入っていた。