東京オリンピックのボランティア、8万人の募集要項は? 交通費や宿泊費は自己負担、批判もあるが…

一般の人がより参加しやすくするため議論を重ね、条件を決定したという。
NurPhoto via Getty Images

東京都は6月12日、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの都市ボランティアの募集要項を発表した

会場案内やアテンド、運営サポートなどの9分野で、合計8万人のボランティアを募集する。

ボランティアの募集要項をめぐっては、交通費や宿泊費を自己負担とすることなどに対して、Twitterなどネット上で「活動環境が厳しい」「やりがい搾取だ」との批判の声も上がっている。

募集要項の内容はどうなったのか?

大会組織委員会によると、ボランティアの活動時間は「休憩や待機時間を含み1日8時間程度」、活動期間は「10日以上を基本」とする。競技スケジュールや活動内容・場所などによって、10日を下回る場合もあるという。また、連続勤務については、基本的に「5日以内」にするとした。

3月に公表した要項案では、ボランティア活動の条件は「1日8時間」「合計10日以上」としていたが、連続勤務の条件などを明確化した。また、勤務時間に休憩や待機時間も明記した。

大会組織委員会の担当者はハフポスト日本版の取材に対し、「有識者によるボランティア検討委員会で、一般の人がもっと参加しやすくなるように議論を重ねて、条件を決定しました」と話した。

滞在先までの交通費や宿泊費は「自己負担」だが、滞在先から会場までの交通費については、一定額相当分の物品などを提供する。

担当者によると、現金支給ではなく「プリペイドカードや商品券など」の形での支給も検討している。2012年に開催されたロンドン五輪でも宿泊費や滞在先までの交通費は自己負担だったが、一定地域を自由に移動できるフリーパスを支給したという。

ロンドン五輪では、約7万8000人のボランティアが参加した。閉会式で出場選手とハイタッチをするボランティア参加者(左)。
ロンドン五輪では、約7万8000人のボランティアが参加した。閉会式で出場選手とハイタッチをするボランティア参加者(左)。
Kai Pfaffenbach / Reuters

ボランティアの応募条件は、以下の2つの条件を満たす人。

①2002年4月1日以前に生まれた人(オリンピック開催時に18歳以上の人)

②ボランティア活動期間中に日本国籍または日本に滞在する在留資格を有する人

ボランティアの活動分野、募集人数の目安、各分野での活動内容は以下の通り。

1)案内

16,000〜25,000人

観客やオリンピック・パラリンピック関係者の案内、チケットやセキュリティチェックのサポート。空港やホテルでの関係者の入国、宿泊案内など。

2)競技

15,000〜17,000人

各競技および練習会場内において、競技運営などのサポートを行う。

3)移動サポート(運転等)

10,000〜14,000

オリンピック・パラリンピック関係者が会場間を移動する際に車を運転するなど。

4)アテンド

8,000〜12,000人

海外要人などが快適に日本で生活できるよう、空港や会場などで接遇を行う。また、選手の外国語でのコミュニケーションサポートなど。

5)運営サポート

8,000〜10,000人

競技会場、選手村、車両運行などの運営サポート、スタッフ(ボランティア等)のユニフォーム配付、選手団やメディアなど関係者への物品貸出しなど。

6)ヘルスケア

4,000〜6,000人

急病人やけが人が出た場合の対応。選手にけが人が出た場合、医務室への搬送サポートなど。競技を終えた選手に対して、ドーピング検査員が検査を実施する際のサポートを行う。

7)テクノロジー

2,000〜4,000人

通信機器などの貸出し、回収サポートなど。

8)メディア

2,000〜4,000人

国内外のメディアが円滑に取材することができるよう、各種サポートを行う。

9)式典

1,000〜2,000人

表彰式で選手や関係者の案内、メダル・記念品の運搬など表彰式運営のサポートを行う。

ボランティアの応募期間は2018年9月中旬から12月上旬まで。詳細は東京オリンピック・パラリンピックの公式サイトで確認できる。

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