名人戦第6局は「魔界」のような難解局面。羽生善治竜王は負けられない大一番

いよいよ両者の駒がぶつかる本格的な戦いが始まる。
羽生善治竜王と佐藤天彦名人
羽生善治竜王と佐藤天彦名人
時事通信社

【UPDATE】(2018/06/20 22:06)

名人戦第6局は午後9時40分に羽生竜王が投了。佐藤天彦名人が防衛に成功、3連覇を果たした。(詳細は⇒こちら

羽生善治竜王(47)が佐藤天彦名人(30)に挑む第76期将棋「名人戦」七番勝負第6局は6月20日、2日目の対局が行われている。

当初は「佐藤名人よし」と見られていたが、中盤〜終盤へと推移する中で互角の様相に。まるで「魔界」のような、難解な局面になっている。まだまだ先は見えないが、持ち時間は両者とも1時間少々となった。

第五局までは佐藤名人が3勝2敗。佐藤名人が勝てば防衛を果たす。タイトル100期がかかった羽生竜王は、本局に勝って最終局に持ち込めるか、注目の一番となっている。

■1日目、羽生竜王の「△6二銀」でどよめき

第六局は1日目から波乱模様だった。カド番の羽生竜王は"負けたら終わり"の対局。その最序盤の2手目で、羽生竜王は「△6二銀」と珍しい手を指した。定跡を離れた局面に、千日手の可能性を指摘する声もでていた。

この「△6二銀」について、飯塚祐紀七段は大盤解説会でこう語っている。

羽生さんは1994年ごろ、2手目△6二銀を連投していたことがあります。ただ、その後、指されなくなりました。たしか、『あまり良い手じゃない』という結論だったと記憶してます。その手を、この(名人戦の)カド番に追い込まれた対局に、もってくるとは!20数年あたためていた『魔手』ですね。

2018年6月19日・朝日新聞デジタル

1日目は両者ともじっくりとした駒組みが続いた。午後6時半過ぎ、羽生竜王の44手目で「封じ手」となった。

■中盤〜終盤へ、超難解な局面に

2日目(20日)は午前9時から対局開始。「封じ手」は「△3一玉」だった。羽生竜王は序盤14手目で上がっていた銀将(△6四銀)を、一度引いて54手目で「△7四銀」と繰り替えた。

佐藤名人は61手目で「▲8八角」と、角の位置を転換し、攻めを狙う。これに羽生竜王は「△8六歩」から「△8五歩」と攻める。「棒銀」と桂馬での攻勢を伺っているようだ。

佐藤名人は、いつの間にか着物を着替えていた。対局者の「お色直し」は異例。験を担いだのだろうか。

午後6時30分、30分の休憩を終えて対局再開。この先、一手一手が見逃せない局面。いよいよ両者の駒がぶつかる本格的な戦いが始まろうとしている。

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