「1400万円払って」美術品を壊した子供の母親に請求書

母親は反論「明らかに彫刻を保護していませんでした」
彫刻に触ろうとする男の子。
彫刻に触ろうとする男の子。
YouTube / CBS

親が目を離した間に、子供が物を壊してしまうのはよくあること。でも、とても支払えないような高価なアート作品を壊しても、親は責任をとって全額弁償すべき?

アメリカ・カンザス州で起きたある事故を巡って、そんな議論が起きている。CBSなどが報じた。

同州のオーバーランドパーク市にあるトマホークリッジ・コミュニティセンターで、5歳の男の子が誤って展示されている彫刻を壊してしまった。

一家はこの日、結婚式のためにセンターを訪れた。結婚式が終わり、親たちが挨拶をしている間、子供たちはセンターの廊下で遊んでいたが、そのうちの一人が廊下にあった彫刻を触ろうとして、床に転がり落としてしまった。

監視カメラには、ぐらつき始めたのを見てなんとか元に戻そうとする男の子と、力及ばず彫刻が台座から転がり落ちる瞬間がうつっている。

男の子も床に倒れてしまったが、怪我はなかったと伝えられている。

彫刻は、地元のアーティスト、ビル・リオンズさんが2年かけて作った「カンザス・シティのアフロディーテ」。リオンズさんは彫刻を修復しようとしたが、ダメージが大きく修復不可だったという。

彫刻が壊れてから1カ月後、男の子の親宛てに、オーバーランドパーク市の保険会社から手紙が届いた。手紙には、親の監督責任を追求する言葉とともに、132,000ドル(約1400万円)の支払いを求めると書かれていた。

「息子さんが立ち入り禁止の場所に入って、ガラス製の彫刻を倒したことが原因で、今回の損失が発生しました。カンザス州の判例法では、あなたには未成年の子供を監督する責任があり、監督不行届は、過失行為と見なされます」

オーバーランド市の支払い請求に、母親のサラ・グッドマンさんは反論する。

グッドマンさんによれば、全く保護されていない状態で、固定されてもいなかった。"触らないでください"と書かれたサインも、立ち入りを制限するためのロープも張られていなかったという。そんなに高価なものであれば、きちんと保護しておくべきだったと、グッドマンさんは主張する。

「コミュニティセンターは、明らかに彫刻を保護していませんでした。アクシデントが起きるのは明らかであり、今回の出来事はアクシデントです。彼らのアートの価値を過小評価したくはありませんが、私にはこの金額は払えません」とグッドマンさんは地元の新聞カンザス・シティ・スターに話す。

オーバーパークランド市の広報、シーン・レイリーさんは、触れるように作られた作品でなければ、触っていけないという社会的責任がある」と話している

ただ、支払いに関するやりとりは、保険会社を通して行われることになりそうだ。レイリーさんは一家の保険会社と話をするために手紙を送ったのであり、請求書を一家に送ったつもりではないと説明している。

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