サッカー・ワールドカップ(W杯)で、日本は6月28日(日本時間)、ポーランドに敗れはしたものの、決勝トーナメント進出を決めた。だが、日本は試合終了間際、決勝トーナメント進出を優先するために消極的なプレーに徹した。会場からは大きなブーイングが起きる異例の事態になった。
後半38分。日本のプレーががらりと変わった。1点を追う日本はそれまで、ツートップの布陣で攻撃的な姿勢を示していたが、一転、パス回しをするだけで攻めようとしない。時間稼ぎをしているのは明らかだった。
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このころ、別の会場であったセネガルとコロンビアの試合で動きがあった。コロンビアが先制点を挙げてリード。これにより、一時は3位に後退した日本はセネガルを抜いて2位に浮上した。
とはいえ、セネガルとの差はわずかだった。勝ち点、得失点差、総得点のいずれもが並び、フェアプレーポイント(警告数)でかろうじて上回っているだけ。試合中、新たな警告や退場を受ければ、再逆転される可能性があった。
決勝トーナメントに進むためには、果敢に攻めるよりも警告を避ける慎重なプレーに徹し、コロンビアの勝利を待つ―。そんな作戦に日本は切り替えた。
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だが、会場のサポーターたちは「試合に負けて勝負に勝つ」というチームの作戦には必ずしも納得はしていなかったようだ。
パス回しで無為に時間が経過する中、次第にブーイングは大きくなっていった。終了のホイッスルが鳴り、ほどなくして決勝トーナメント進出が決まっても、選手たちは大喜び、というわけではなかった。勝負に徹したとはいえ、後味の悪さが残ったのかもしれない。