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2018年07月10日 15時51分 JST | 更新 2018年07月10日 15時58分 JST

「今まで見えなかった風景に出会えた」一人から二人、そして三人家族へ。俳優・小島聖さんの旅と子育て

家族が増えたら、新しい風景が開けた。

ネパール、フランス、スイスと「馬鹿みたいに山に行っていた」時期を経て、40代になって初めての妊娠と出産を経験した女優・小島聖さん。

武藤彩

自由な冒険に夢中だった「一人旅」の30代を経て、現在のパートナーと出会い、親として「家族」という舟に乗った彼女は今、仕事や子育てにどう向き合っているのだろう。

役者という仕事の苦しみと醍醐味、誰かと共に生きることの希望......。初エッセイ『野生のベリージャム』で家族についてもつづった小島さんに話を聞いた。

前編》心に余分な贅肉がついていませんか? 俳優・小島聖さんは、30歳の一人旅で山と出会った。

出産の瞬間だけなら、もう一度経験したい。

Eriko Kaji

――『野生のベリージャム』では初めての出産についても触れられていますね。陣痛のあいだは「獣のごとく呻き叫びの時間だった」と......。

はい、妊娠期間中やその後の子育てについてはひとまず置いておいて、「出産」という一瞬に関しては、私、もう一回経験してもいいなって思います。

陣痛そのものは絶叫するほどつらかったのですが、赤ちゃんが生まれた後のふわ~っとする脱力感。あの時間はすごく気持ちよかった。初乳をあげたときの、なんともいえない感じも。あの瞬間はもう一度経験してみたいです。

――子育て、いざ始めてみていかがですか。

愛らしいし楽しいですけどやはり大変です。十分な睡眠が取れなかったり、外食もできなくなったり、自分の時間も思うようにつくれないし......。本当に全てが初めてだから「これで正しいのかな?」と迷いながら試行錯誤している毎日です。

―― 山登りで培った忍耐力や体力は、子育てには通じない?

今のところ通じないです。

でもやはり、日に日に成長し変化していく姿を見られるのは楽しいです。おっぱいを飲んで寝てばかりだった日々から、腰が据わり、一人で座れるようになり、ご飯を食べ、立てるようになる。笑ったり、泣いたり、「いやだ」とかの意思表示もするようになるから。

「子どもが最優先になる」自分への葛藤
Eriko Kaji

―― 親になったことで価値観の変化はありましたか。

どうしても子どものことが最優先になってしまう。それが良いなと思うときもあれば、「でも嫌だな」と思うときもある。すごい葛藤です。自分の欲の深さみたいなものに気づかされます。

――欲の深さ?

はい。やはり仕事は続けたい。私は舞台の仕事が好きなんです。それも本番よりも、稽古しているときのほうが。稽古中って役を自分で理解するまでに苦しい時期が多々あるんですが、苦しさを超えて「この方向かもしれない」というのが見つけられた瞬間の楽しさが好きなんです。

芝居も料理も似ている気がします。あれこれ試している時間が楽しい。

もちろん本番中も回を重ねるごとに発見はありますが、私の場合はとにかく稽古の最中に一回苦しまないと次が見えてこない。だから、乗り越えられる瞬間が自分の中に訪れると「今回も大丈夫かもしれない」という指針になります。

役者の中には稽古が好きではない人もいるようです。毎日同じことと向き合うので。でも私はそういう方が好きだなと思います。多分、私が瞬発力よりも持久力のほうを持ち合わせているタイプだからかもしれません。

一人から二人、そして三人家族へ

Eriko Kaji

――エッセイ『野生のベリージャム』では現在のパートナーの方との出会いについても触れています。一人旅を満喫していた小島さんが、彼とのアラスカの旅に戸惑いながらも、静かに受け入れていく過程が印象的です。

彼とは山や旅ではなく、街で出会ったのですが、価値観が合うだけではなく、一緒にアラスカを旅して「自然を知っている人って強いな」と感じたんです。

都会にいるからこそ見えてくる部分もあるし、自然の中だからこそ見えてくる部分もある。アラスカで感じた彼の器の大きさというか、いい加減さというか、生きる力が人間として魅力的だと思えました。

――一人から二人、そして三人へ。これからは家族三人での旅も楽しみですね。エッセイの最後には「きっと家族が増えてもできる形があるはず。できる形を探したい」と綴られていますが、もうどこか海外に行かれました?

はい。やはり今まで通りとはいかず色々と気を遣うことも多かったのですが、それでも子連れで行ったからこそ楽しめたこともたくさんありました。

子連れだからこそいろんな人から話しかけられたり、土地の人とも以前はしなかったような会話をできたりもした。今までは見えなかった風景にたくさん出会えました。こんな風に少しずつ、家族で旅を重ねていけたらいいなと思っています。

――あと数年して再び一人旅をするなら、まずはどこへ行きたいですか。やはり大好きなネパールに?

小島 どこですかね......パリに行きたい(笑)。ロンドンやニューヨークで芝居も観たいです。パタゴニアも行きたいな。

私まだまだ人間ができていないので、楽しいことも辛いこともいろんな経験を積み重ねて紆余曲折しながら生きていくのだろうなと思います。

前編》心に余分な贅肉がついていませんか? 俳優・小島聖さんは、30歳の一人旅で山と出会った。

『野生のベリージャム』(青幻舎)

野生のベリージャム』小島聖 青幻舎より発売中

(text:阿部花恵 photo:加治枝里子 edit:笹川かおり)

家族のかたち」という言葉を聞いて、あなたの頭にを浮かぶのはどんな景色ですか?

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