野村萬斎さんが語る、東京五輪・パラリンピックへの思い キーワードは「鎮魂と再生」

「シンプルかつそして和の精神に富んだオリンピック・パラリンピックに」
「祝祭大狂言会2017」の説明をする能楽和泉流狂言師の野村萬斎さん=18日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワー 撮影日:2017年01月18日
「祝祭大狂言会2017」の説明をする能楽和泉流狂言師の野村萬斎さん=18日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワー 撮影日:2017年01月18日
時事通信社

2020年の東京五輪・パラリンピック大会の開会式・閉会式の総合統括「チーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター(チーフECD)」に就任した狂言師の野村萬斎さんが7月31日、記者会見を開いた。

野村さんは冒頭で「平和の祭典の式典を担う大役に、非常に身の引き締まる思いでお受けしております。復興五輪の名に恥じないような。シンプルかつそして和の精神に富んだオリンピック・パラリンピックになるよう、全力を尽くしたいと思います」と、意気込みを語った。

2年後の東京大会では、どんな演出を考えているのだろうか。野村さんはこう語る。

「私自身が狂言という立ち位置から参画している部分があるので、鎮魂と再生であるとか、そういう部分が我々の芸能的な重要な部分でもあります。その精神を生かすことが、復興五輪にも意味があるのではないかということはチームの中で賛同いただいているところ」

「もちろん、お金がかかるとかが色々なことが問題になるとは思いますが、何より質を上げたいなと思ってます。それはお金のこととは別の意味で、良質なる、"日本の精神"に則ったものにしたい」

室町から続く狂言の伝統と2020年の現代をどう融合させるのか。こう問われた野村さんは「伝統」と「テクノロジー」という言葉を用いて、目指すセレモニーのあり方を語った。

「我々人類、地球上のすべての生き物が、ある歴史を背負って、いま現在というところにある。その事実を再認識する必要があるのではないか。そういう中で、それを一種のセレモニーとして芸術的かつエンターテインメントとして皆様にお届けしなければいけないというのが、セレモニーのまさに任務だと思います」

「しかし、それをあまり言葉で説明するのではなく、百聞は一見にしかず。なるべく見てわかるものにしたい。当然、そこで見せられる手法には伝統的な手法・発想があり、かつそれをまた効果的に現代に生きる人々に印象的に残るような感動をさせるような、そういうテクノロジーを含めた色々な使い方で盛り上げたい」

これまでのオリンピック・パラリンピックの開・閉会式では、それぞれの開催国を代表する人物がセレモニーに登場している。2年後の東京大会では、どんな人たちが登場するのだろうか。

野村さんは、映画「陰陽師」で安倍晴明を演じたことで知られ、同作の主題歌はフィギュアスケートの羽生結弦選手が平昌オリンピックのフリーの演技で使用した。

羽生選手が登場する可能性はあるのかと記者から問われたが、野村さんは「それはねえ、たくさんの方が思い浮かべられますが、当日のお楽しみということにさせてください(笑)」と、ユーモアを交えて答えた。

会見には、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどで知られる映画監督の山崎貴さん、リオ五輪閉会式で引き継ぎセレモニーを手掛け、ソフトバンクモバイルの「白戸家シリーズ」のCM制作などを手がけたCMディレクターの佐々木宏さんも出席。それぞれ、オリンピックとパラリンピックの開・閉会式を担当する。

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